最新記事
中台関係

米台の指導者が会えば会うほど、中国の「派手なリハーサル」が止まらない

More Saber-Rattling

2023年4月17日(月)11時56分
ブライアン・ヒュー(ジャーナリスト)
中国軍艦艇

中国本土に近い馬祖島周辺で演習を行う中国軍の艦艇 THOMAS PETERーREUTERS

<中国初の国産空母「山東」による台湾攻撃のシミュレーションを初めて行った中国。海上封鎖や精密攻撃を想定した「台湾包囲」をこれ見よがしに行っている>

毎度のことだが、台湾とアメリカの要人が顔を合わせると、中国側は派手な軍事演習で応える。

去る4月5日に米カリフォルニア州で台湾総統の蔡英文(ツァイ・インウェン)と米下院議長のケビン・マッカーシーが会ったときも、中国軍は同月8~10日の3日間にわたり、台湾周辺で大規模な軍事演習「連合利剣」を実施した。

蔡はニューヨーク経由で中米2カ国(今も外交関係のあるグアテマラとベリーズ)を訪問した後、台湾に戻る途中でカリフォルニアに立ち寄り、マッカーシーと会った。公式訪問ではなく、あくまでも「立ち寄り」としたのは、もちろん中国を挑発しないため。当然、アメリカ政府の高官とは一度も会わなかった。

台湾の歴代総統が1995年、2001年、07年、そして19年に「立ち寄り」と称して訪米した際にも、中国は軍事的な示威行動で応じていた。

昨年8月のナンシー・ペロシ下院議長(当時)による訪台にも中国は同様に反応した。今回も台湾側は、何らかのリアクションを覚悟していたに違いない。

では、今回の反応をどう評価するか。専門家の間でも意見は割れている。今回の実弾演習は昨年8月に比べると台湾本島から離れた場所で行われた。

それでも演習中に台湾の防空識別圏に侵入した戦闘機の数は最も多かった。脅威が減ったのか増えたのか、簡単には判定できない。

今回の演習には中国初の国産空母「山東」が参加し、艦載機「殲15」の発着訓練も実施された。空母による台湾攻撃のシミュレーションは今回が初めてだ。

中国側は今回、標的に対する精密攻撃の訓練も実施したとしている。昨年8月のミサイル発射実験の延長線上にあるのだろう。しかし真に注目すべきは、今回の演習が台湾「封鎖」のシミュレーションと位置付けられたことだ。

演習の動画を双方が公開

昨年8月の軍事演習は、多大な犠牲を伴う台湾本島への上陸・侵攻作戦を想定していたように見えた。しかし今回は、強力な海上封鎖によって台湾を物理的に孤立させるシナリオを描いていたようだ。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ヒズボラ、レバノン東部でイスラエル空挺作戦に応戦と

ビジネス

株安で押し目狙い、アジアの個人投資家 エネルギーシ

ビジネス

英国債と英ポンドが急落、年内利上げを織り込み直す

ワールド

ベルギーのシナゴーグで爆発、負傷者なし 反ユダヤ主
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ルートとは?...スクワットの真実
  • 2
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    「溶けた金属のよう...」 ヨセミテ国立公園で「激レ…
  • 5
    大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリ…
  • 6
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 7
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 5
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中