最新記事

クリミア奪還

クリミア奪還が近い?家を売り払って逃げるロシア系住民

Russians flee Crimea, abandon property ahead of Kyiv's counteroffensive

2023年4月13日(木)17時00分
イザベル・ファン・ブリューゲン

クリミア議会の前で発煙筒を炊き、クリミア併合9周年とロシア軍勝利を祝うロシア系の若者(3月11日、シンフェロポリ) Alexey Pavlishak-REUTERS

<ウクライナ軍の反転攻勢を恐れたロシア系住民のクリミア脱出が加速している。ロシア人首長は「迎え撃つ」と強気だが>

ロシア・ウクライナ戦争で、近々ウクライナ軍の反転攻勢があるとの恐れから、ロシア系住民によるクリミア脱出が加速しているという。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権でクリミア問題を統括するタミラ・タシェワ大統領代表が、国営テレビに出演して述べた。ロシア系住民は、2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島をウクライナが奪還しようとすることに不安を募らせているという。

クリミア半島では、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの本格侵攻を開始した数週間後の2022年4月11日以降、テロ警戒レベルが上から2番目の「黄色」に引き上げられており、ロシア軍はウクライナ軍の進軍に備えてクリミア半島を要塞化している。

クリミアは「売り出し物件だらけ」

タシェワは「大勢の人が家を捨て、クリミア半島から脱出している」と発言。これに先立ち、現在クリミア半島には50万人から80万人のロシア人が違法に暮らしていると述べ、ウクライナがクリミアを奪還すれば、彼らはウクライナの法律や国際法に従って、国外退去処分となる可能性があると指摘していた。

何千人ものロシア人がクリミアから脱出しているため、クリミアの住宅市場は売り一色だ、とつけ加えた。

「どれだけの人がクリミアを去ったのかについては、統計がないから分からない。残念なことに数十万人単位とはいかないが、数千人単位だと理解している。その証拠に、クリミア大橋にも大行列ができている」と彼女は述べた。クリミア大橋は、ロシア本土とクリミア半島を結ぶ橋だ。

本誌はこの件についてロシア外務省に問い合わせたが、返答はなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中