最新記事
ロシア

YouTubeにプーチンの嘘が蔓延...消しても消しても出現...誰の仕業か

RUSSIAN LIES ON YOUTUBE

2023年4月5日(水)13時20分
イーブァ・メイトランド(ニューズガードアナリスト)、マデリン・ローチ(同英国オフィス主幹)、ソフィア・テワ(同ニュース検証エディター)

収益化された最近の動画だと(どうやらロシア占領下のウクライナ東部ルハンスク〔ルガンスク〕州やドネツク州で撮影している様子)、広告主は12年に米コネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件の遺族が創設したNPO、難民支援NGO、米保険大手や米携帯電話会社などだ(アイ・アールグレイのプロパガンダ動画は広告付きが多かったが、YouTube上で発見したRTのプロパガンダ動画の大部分は広告が付いていなかった)。

ジョーンズのおかげでロシアのプロパガンダ動画はYouTube上で何万回も再生されている。例えば彼が昨年11月に投稿したRTの「ファシズムへの加速」は、ウクライナがウクライナ東部のロシア系住民を組織的に標的にしているという作り話を繰り返し、1940年代のナチスドイツの映像を現代のウクライナの映像と並べていて、公開以来約5万回再生されている。

この動画についてコメントを求めると、YouTube側はこの動画を含めてニューズガードが特定した匿名チャンネル上の18の動画を削除。だがアイ・アールグレイが依然YouTubeにロシアのプロパガンダを投稿できる理由とそれらの動画が広告収入を生む理由については、コメントはなかった。アイ・アールグレイにも今年2月、ロシア政府のプロパガンダやRTのドキュメンタリーを売り込む理由とRTとの関係についてメールで問い合わせたが、やはり回答はなかった。

アイ・アールグレイと同じ経緯をたどったチャンネルはほかにもあった。例えば「イベント・トゥ・バビ・ニューズ」はフランス語のR&Bミュージックビデオを配信していたが、昨年8月からRTのドキュメンタリーのフランス語版などロシアのプロパガンダを集中的に配信。残虐さで知られるロシアの民間軍事会社ワグネルを追った映像は投稿から2カ月で13万3000回再生された。チャンネル登録者数は4万1500人。20近いアカウントがツイッターでURLをシェアし、登録ユーザー以外にも拡散された。

YouTubeでRTの動画を宣伝していたのはアイ・アールグレイやイベント・トゥ・バビ・ニューズのような目立つチャンネルばかりではない。80を超える匿名チャンネルがウクライナ戦争関連のロシアのプロパガンダを拡散していた。これらのチャンネルは登録者数も動画1本当たりの再生回数も少ないため、日常的にRTのニュース記事を多数投稿していても、YouTubeによるコンテンツモデレーションを回避できるらしい。個々の記事は取るに足りないものでも積もり積もれば大きな影響力を持つ。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:金融市場にも「脱米国」の動き、堅調見込め

ビジネス

シティのフレイザーCEO、25年の報酬は22%増の

ビジネス

訂正(12日配信記事)米資産運用会社ヌビーン、英シ

ビジネス

仏エルメス、第4四半期は9.8%増収 中国に明るい
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 7
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 8
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 9
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中