最新記事

ロシア

プーチンの軽率な開戦決断は、癌のホルモン療法による「誇大妄想のせい」(デンマーク軍情報機関)

Rumors of Putin's Ill-Health Persist Amid Intelligence Updates

2023年1月8日(日)07時30分
ブレンダン・コール
ウラジーミル・プーチン大統領

ウラジーミル・プーチン大統領(2022年12月) Sputnik/Valeriy Sharifulin/Pool via REUTERS

<ウクライナ情報機関トップが、プーチンは「末期的な病気で死期は近い」と語ったことで、またもやロシア大統領の健康状態が注目を集めている>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の健康不安説が取り沙汰される中、ウクライナ情報機関のトップが「プーチンはがんを患っており、死期は近い」と述べ、波紋を呼んでいる。

■【動画】演説中に咳が止まらないプーチン

プーチンが昨年2月にウクライナに侵攻して以来、ソーシャルメディアユーザーやアナリストらはプーチンの健康状態に注目し、赤の広場で足を引きずったり、机にしがみついたり、右腕に力が入っていないように見える映像から、プーチンを「診断」しようとしてきた。

ウクライナ国防省の情報機関トップ、キリロ・ブダノフは米ABCニュースに対し、プーチンはがんを患っており、死期は近いと語り、プーチンの健康不安説に拍車をかけた。プーチンは「末期的な病気」なのかと問われたブダノフは、「そうだ」と答え、「非常に長い」期間にわたって、病気の状態にあると述べた。

また、プーチンの死期については、「近いと思う。そう願う」と話したうえで、その時がくるよりも早くウクライナがロシアに勝利すると主張した。

このインタビューの映像を、ウクライナ内務省顧問のアントン・ゲラシチェンコがツイッターに投稿すると、コメントが多数寄せられた。

冷戦史家のセルゲイ・ラドチェンコは、ブダノフの主張を「心理戦を意図したものとみられ、うのみにはしない」ものの、彼の予測は「悪くない」と投稿した。

「丸い顔」はホルモン治療の影響?

デンマーク軍情報機関のロシア分析責任者は、同国の日刊紙ベリンスケに、プーチンは末期疾患ではないとの見方を示している。しかし、がんのためにホルモン治療を受けた可能性は高く、「満月のように丸い顔」もそのためだと指摘した。

「ヨアキム」とだけ名乗ったこの高官は、情報筋は明かさなかったものの、「誇大妄想は、プーチンが受けたホルモン治療の副作用の1つとして知られている」ため、ウクライナ侵攻における彼の軽率さも説明できると述べた。

しかし、プーチンは何度も転倒するなどして慢性的な痛みを抱えていると、この高官はみており、「そのため、座っているとき何かを強くつかむ傾向がある。痛みを和らげるためだ」と話した。

プーチンが12月31日に行った毎年恒例の新年の演説では、頻繁に咳をしているように見えることがネット上で話題になった。

年末の記者会見がこの10年で初めて行われなかったのも、プーチンの健康状態の悪化がカメラの前で目立つようになったことが理由の1つだと、一部のメディアは報筋の話として伝えている。

ニューズウィークは昨年6月、プーチンが同年4月に進行性がんの治療を受けていたことが米情報機関の機密報告書で明らかになったと報じた。

反政府系学者のワレリー・ソロベイは2020年、プーチンががんとパーキンソン病を患い、同年緊急手術を受けたと指摘している。またニューラインズ誌は、ロシア新興財閥「オリガルヒ」のある人物が、プーチンが「血液のがんで重病」だと話す音声ファイルを入手したと報じた。

ロシア政府は、プーチンの健康状態は良好であると繰り返し主張している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円

ワールド

スウェーデンのクラーナ、米IPOで最大12億700

ワールド

西側国家のパレスチナ国家承認、「2国家解決」に道=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中