最新記事

北朝鮮

「いつ核実験を行ってもおかしくない」アメリカが対北情報収集を強化

Eyeing Possible North Korea Nuke Test, U.S. Steps Up Intel Gathering on Kim

2022年10月25日(火)19時12分
トム・オコナー

北朝鮮が核実験を実施した場合にも外交は選択肢として残るかという質問に対して、カービーは「仮定の話はしない」と述べた。「北朝鮮はいつでも核実験を行う可能性がある」とした上で、こう続けた。「前提条件なしに彼らと交渉のテーブルに着く用意がある、という我々の姿勢は今も変わっていない、とだけ言っておこう」

アメリカ、韓国と北朝鮮は2018年の歴史的な和平プロセスの中で、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射と核実験の中止を目指したが、2度の米朝首脳会談や3回の南北首脳会談を含む指導者レベルの交渉を繰り返したものの、恒久的な和平合意には至らず、北朝鮮と米韓の緊張は高まっていった。

金正恩は今後また、米本土に到達可能なICBMを含むミサイルの発射実験や、日本と韓国に脅威をもたらす、より射程の短い戦術兵器の発射実験を繰り返すつもりだろう。

こうしたなか韓国の政治家の間では尹錫悦大統領に対して、軍事力を誇示する北朝鮮に、これまで以上に厳しい措置を取るよう求める声が高まっている。冷戦終結から30年ぶりに、米軍の戦術核兵器を韓国内に再配備することを求める声も上がっている。

聨合通信によれば、尹錫悦は10月13日、「拡大抑止に関しては、米国内と韓国内で多様な意見が出ている。しっかりと耳を傾け、さまざまな可能性を慎重に検討している」と述べた。

日本を名指しして非難

24日に北朝鮮と韓国が、互いに相手が海上の南北境界線を越えたと非難して威嚇射撃の応酬を行ったことを受けて、韓国大統領室は「北朝鮮が挑発を継続し、我々(韓国)の方が間違っていると主張することは、朝鮮半島だけでなく国際社会の平和と安定を損なうことだ」と警告した。「北朝鮮が脅威の水準を高めれば高めるほど、孤立するのは北朝鮮政府であり、北朝鮮の市民の暮らしはさらに疲弊するだろう」

しかし北朝鮮外務省は同日、軍の行動を擁護。北朝鮮人民軍は、最近の複数のミサイル発射実験を通して「朝鮮半島に生じた深刻な状況に対して、最大限にその実戦能力を示した」と称えた。「北朝鮮人民軍による戦術核の運用訓練、および長距離戦術巡航ミサイルの発射実験は、正当な自衛行為だ。その目的は朝鮮半島の緊張の原因を一掃することであり、地域の平和と安定を守り、真の国際的正義を実現することだ」

北朝鮮外務省は声明の中で、とりわけ日本を名指しして非難した。日本政府は、北朝鮮の度重なるミサイル発射実験を受けて(このうち一発は日本上空を通過)、韓国政府と共に北朝鮮に対する追加制裁を決定した。

同省は声明で次のように述べた。「最も厳しい制裁や障害の下でも、我が国は地球上のあらゆる攻撃的な勢力を根絶させ、朝鮮半島と地域の平和と安定を確実に守ることができる、核を保有する軍事大国になった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中