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父に見つかった癌に勇気をもらった私──自分の癌リスクを知るとは?

We Have the Cancer Gene

2022年10月18日(火)14時33分
ショシャナ・アンガーライダー(サンフランシスコの内科医)

主体的な選択が可能に

遺伝子検査を受けた結果、父はBRCA遺伝子の変異があることが分かった。そこで、私も7月にBRCA遺伝子の変異の有無を調べるために遺伝子検査を受けた。

数週間後に伝えられた検査結果は、私もBRCA遺伝子の変異があるというものだった。奇妙な言い方に思えるかもしれないが、この検査結果を聞かされたとき、私は感謝の気持ちを感じ、勇気が湧き上がってきた。

私の家系には癌患者がとても多いので、いつか自分も癌になるのだろうとずっと思ってきた。しかし、ひたすら悪いニュースを待つ日々はこれで終わりになった。自分のリスクについて知り、その情報を基にどうしたいかを自分で決められるようになったのだ。今の私は、自分が運よく癌を逃れられますように、と祈るだけではなくなった。

みんなに知ってほしいと思う。BRCA遺伝子の変異は、乳癌と子宮癌だけで起きるわけではない。膵臓癌や前立腺癌や悪性黒色腫(メラノーマ)やそのほかのいくつかの癌にも、この変異が関係している可能性がある。医師でもそのことを知らない人が多い。

アメリカには、BRCA遺伝子の変異がある人が100万人以上いるが、80%はそのことを知らないままで生きている。父(と私)の経験がそうした人たちを救う役に立つことを願っている。

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