最新記事

中国共産党

「新たな毛沢東」へ──中国共産党大会は習近平のシナリオどおりの「政治ショー」

2022年10月17日(月)11時48分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)
習近平

習近平は長年にわたる党の集団指導体制を打ち砕こうとしている FLORENCE LOーREUTERS

<当面、習近平は終身体制で中国共産党の総書記をつとめるだろう。しかし、党内の弱肉強食の権力闘争はさらに不透明になっていく>

中国共産党第20回全国代表大会(共産党大会)が北京で始まった。5年ごとに開かれるこの大会では党の報告や決議が行われ、閉幕の翌日には政治局委員25人による新たな常務委員の人事が発表される。

通常は指導部トップも刷新される。いつもの党大会なら、党総書記で国家主席の習近平(シー・チンピン)と首相の李克強(リー・コーチアン)が交代することになる。

しかし、習体制は異例ずくめだ。前回2017年の第19回党大会では、次期指導者が発表されなかっただけではない。習は翌年、事実上の終身体制を打ち立て、ライバルたちを追い落とした。なかでも首相の李の失墜は驚きだった。

これまでの党大会からは、その時々の政情不安がうかがえる。第1回党大会の開催は1921年、共産党が政府を樹立する前だった。5年ごとに開かれるようになったのは77年からで、ポスト毛沢東の秩序確立を模索していた頃だ。

指導部をきちんと交代することによって党が示そうとしていたのは、中国は権威主義的な体制であっても、世界が信頼でき、取引のできる相手だということだ。ここに「集団指導体制」の原則が加わる。

この体制の眼目は、総書記は権力を持っていても、あくまで同輩の中のトップにすぎず、他の指導部メンバーと現役を退いた長老が「新たな毛沢東」の出現を阻止するよう努めるというものだ。

だが、習の台頭は伝統を打ち砕いた。現在、中国を誰が治めているかは一目瞭然だ。第20回党大会後に変化は起きそうになく、当面は習が終身体制で総書記を務めるだろう。

党大会についてまず知っておくべきなのは、開幕前に権力闘争にはケリがつき、お膳立ては整っているということ。突発的な事態が起きない限り、議事は事前に決められたとおりに進む。

ここで展開されるのは、数カ月、あるいは数年かけて行われてきた根回しや賄賂や脅しの成果だ。しかし、権力闘争の結果は外部からはほとんど見えない。習の下で、党内の権力闘争はさらに不透明になった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国、消費促進へ新たな措置を計画 サービス部門が焦

ビジネス

仏産ワインに200%関税とトランプ氏、平和評議会参

ワールド

台湾の輸出受注、25年は過去最高 AI需要拡大

ワールド

仏大統領、グリーンランド巡るトランプ氏の行動に疑問
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 2
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危険生物」を手渡された男性、「恐怖の動画」にSNS震撼
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中