最新記事

東南アジア

最後のご奉公? 97歳のマハティール元首相、マレーシア総選挙に出馬を表明

2022年10月12日(水)17時35分
大塚智彦

「最後のご奉公」という私心なき心情

今回再び総選挙への出馬の意思を表明したマハティール前首相は「首相候補にはならず、あくまで議員としての出馬」とみられている。

狙いがどこにあるかは明確ではないが、再び野党による政権交代を実現して与党の旧態然とした体質改善を促した時点で議員も辞職して余生を送ることを考えているのではないかとの見方も出ている。

もし与党が総選挙で勝利すれば汚職容疑で服役中の「ナジブ元首相の恩赦」に動く可能性が高いこともあり、「マレーシアの腐敗体質への回帰」を阻止したいとの正義感に裏打ちされた強い意志もマハティール元首相にはあるものとみられている。

それは「国民への最後のご奉公」という気持ちが97歳での出馬に踏み切る決断を促したと言えるだろう。

「私心がなくどこまでも国民を第一に考える政治信条」は依然としてマハティール元首相を突き動かしているのだ。

マハティール元首相の総選挙出馬の意向表明に対して与党UMNO側の反応は伝えられていないが、「97歳のマハティール元首相の出馬はありえない」との大方の予想を覆す挙に驚きと衝撃が隠せないのが実情だろう。

また今回のマハティール元首相の出馬は2020年に実質的に袖を分かった野党連合からではなく2020年に立ち上げた新党「プジュアン(戦士)」などからの出馬となる予定という。

いずれにしろ2018年の総選挙と同様にマハティール元首相は選挙の「台風の目」になることは間違いない。2018年の首相再任時に92歳と「民主的に選出された国家指導者として世界最高齢」との記録を樹立したマハティール元首相は、今回の総選挙で当選すれば「世界最高齢で選出された国会議員」となるのは確実で、国際社会の注目を集める状況となっている。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(フリージャーナリスト)
1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド総合PMI、3月は約3年ぶり低水準 中東緊迫

ビジネス

米アマゾン、バーレーン地域でクラウドサービス障害

ビジネス

米エネ会議会場前で約300人が抗議、「きれいな空気

ワールド

中国発展フォーラム閉幕、指導部が安定性アピール
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 6
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中