最新記事

エリザベス女王死去

「ユニコーン作戦」エリザベス女王の葬儀は死去前から段取りが決まっていた

AFTER THE QUEEN

2022年9月16日(金)16時15分
クリスティーナ・コーテルッチ、モリー・オルムステッド、ヘザー・シュウィドル(いずれもスレート誌記者)
エリザベス女王

25歳で女王となって以降、近代の世界の君主としては最長の70年にわたり英国民に仕えた(1953年6月の戴冠式) HULTON ARCHIVE/GETTY IMAGES

<葬儀はどうなる? チャールズの戴冠式はいつ? エリザベス2世去りし後のこれからを徹底予測:その1>

イギリスの君主といえば世界中の誰もが、パステル調のスーツに身を包み、飼い犬のコーギーたちを愛した、あの小柄な女性を思い浮かべてきた。

でも、彼女はもういない。エリザベス女王の死去はイギリスと王室にどのような変化を引き起こすのか。死去の意味とこれから起こることを、Q&A形式でまとめた。

◇ ◇ ◇


エリザベス女王は長いこと君主の座にあったが、素晴らしい君主だったのか。

エリザベス女王はイギリスの君主としてだけでなく、近代の世界の君主で最長の在位70年を誇った。

1952年、父である国王ジョージ6世の死去に伴い、25歳で即位。当時の英首相はウィンストン・チャーチルで、米大統領はハリー・トルーマンだった。女王の在位中に英首相は15人、米大統領は14人が務めたが、彼女は慎重に政治的中立の立場を取り続けた。

女王の在位中、脱植民地化の流れによってイギリスの領土は大幅に縮小し、王室はさまざまなスキャンダルに見舞われた。それでも女王はとても素晴らしい君主とみられ、王室支持派だけでなく反王室派の一部からも敬愛された。

チャールズは女王の死後、すぐに国王になったのか。

女王の死去を知らせる王室の声明は「国王」の名の下に発表された。だが厳密に言えば、即位が正式に宣言されていたわけではない。宣言が行われるのは「王位継承評議会」。これは議会の要職を務める議員を中心とした枢密院の儀礼的な会議だ。

女王の葬儀はどうなる?

女王死去の翌日、イギリス政府は服喪期間に入ると発表。女王の棺(ひつぎ)は死去した英スコットランドのバルモラル城から、エディンバラにあるホリールードハウス宮殿に向かう。そこから同じくエディンバラのセントジャイルズ大聖堂まで葬列が行われ、王室向けの礼拝が行われるとみられる。同大聖堂は24時間、一般公開される。

その後、棺はロンドンに運ばれ、バッキンガム宮殿からウェストミンスター・ホールまで葬列が行われる。それから数日間、棺は安置され、1日23時間にわたって一般公開される予定だ。その後、ウェストミンスター寺院で国葬が行われ、葬列はハイドパークからウィンザー市内を通過し、棺はウィンザー城のセントジョージ礼拝堂にある王室の埋葬室に納められる。

そんなに細かいところまで決まっていたのか。

女王の死去に伴う計画は、かなり前から決まっていた。細部が異なる計画がいくつか準備され、それぞれ別のコードネームが付けられていた。女王はバルモラル城で亡くなったため、スコットランドの国獣にちなんで名付けられた「ユニコーン作戦」が発動された。

チャールズの戴冠式はどうなる?

正式な戴冠式は数カ月先とみられる。分かっているのは、おそらくウェストミンスター寺院でカンタベリー大主教が執り行う宗教的儀式になるだろうということだ。このときにチャールズは即位の誓いを立てる。

女王死去の影響:ヘンリーは離脱を後悔? ウィリアムと父チャールズとの関係が変わる? に続く。

©2022 The Slate Group

ニューズウィーク日本版 トランプの大誤算
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月14号(4月7日発売)は「トランプの大誤算」特集。国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イラン交渉団、和平目指し直接会談 パキスタン交

ワールド

米軍がホルムズ「掃海」とトランプ氏、イランTVなど

ワールド

バンス米副大統領、パキスタンのシャリフ首相と会談

ワールド

米が資産凍結解除に同意とイラン筋、米当局者は否定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 2
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 3
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 6
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人…
  • 7
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中