最新記事

韓国社会

BTSは兵役免除になるか? 韓国国防部、兵役問題めぐり世論調査実施へ

2022年8月31日(水)20時23分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
BTSで最年長のJIN

BTSで最年長のJINは、特例措置がとられなければ年内に入隊しなければならない KIM HONG-JI / REUTERS

<入隊か、兵役免除か。長く結論が出なかった問題がいよいよ解決するか>

世界中のARMYをここ数年悩ませてきたBTS(防弾少年団)の兵役問題に新たな動きが出た。韓国国防部長官が世論調査をしたうえで最終判断をするとしたのだ。MBCなど韓国メディアが報じた。

韓国の兵役制度とは

朝鮮戦争休戦協定からすでに約70年が経つものの、今も戦争が集結していない韓国では徴兵制がとられている。これは憲法の第39条に「すべての国民は法律が定めるところによって国防の義務を負うことになる」と明記されており、具体的には兵役法第3条に「大韓民国の国民である男性は、憲法とこの法で定めるところによって兵役義務を誠実に遂行しなければならない。女性は、支援により現役および予備役だけで服務することができる」と規定されている。

もちろん、例外として兵役を免除されることがあり、スポーツ選手ならオリンピックでのメダル獲得かアジア大会での優勝、文化芸術関係者なら国際的なコンクールでの2位以上、国内のコンクールでの優勝などが対象となる。ただ、ここでいう文化芸術分野とはクラシック音楽やバレエなどのことを指し、BTSなどのK-POPアイドルの大衆音楽は含まれていないのが現状だ。

BTSのメンバーで最年長のJINは1992年12月4日生まれ。特別な措置が取られない限りは、12月には入隊しなければならない。

国防部長官が兵役問題で世論調査を指示?

こうしたなか、8月31日に韓国国会の国防委員会全体会議に出席したイ・ジョンソプ国防部長官は、BTSの兵役問題について早期決定を求める薛勳(ソル・フン)共に民主党議員の質問に対し「デッドラインを決めて結論を下すことにして、世論調査を早くするように指示を下した」と回答した。

さらに「この問題はいろいろなレベルで、最終的には国益を考慮しなければならない。経済的レベルだけでなく他の憲法的価値、文化的価値など、多様な次元で考えられるが、最大限早く決定するようにする」と付け加えた。

この国防部長官の発言が報じられると、BTSの所属事務所HYBEの株価が急上昇。前日比6.76%上昇した18万1500ウォンで取引を終えるなど、反響の大きさを示した。

ただし、国防部関係者は長官の発言が報道された後、記者団に「長官の発言は『世論調査を早くせよ』という指示ではなく、『必要かどうか検討せよ』という指示だった。そして『実施するにあたり調査機関・実施時期・対象など関連事項を検討せよ』という趣旨だった」と説明した。

さらにこの関係者は、「もし世論調査を実施する場合、公正性の担保のため、国防部など関係省庁ではない第三者機関で行うことになる」として、「世論調査の結果は、他の様々な検討要素とともに政策決定のための一つの資料として参考にするだろう」と強調した。

ちなみに韓国の世論調査会社「韓国ギャラップ」が今年4月に実施した調査では、芸能人の兵役免除について賛成するかどうか質問したところ、59%が「賛成」33%が「反対」8%が「どちらでもない」という結果となった。

果たして、JINをはじめBTSメンバーは兵役を免除されるのかどうか。結論が出るのはもうすぐだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 3
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 4
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中