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トランプ「私邸」捜索で、FBIも想定外だった秘密のコレクションが見つかった

The Private Document Stash

2022年8月25日(木)19時50分
ウィリアム・アーキン(ジャーナリスト、元陸軍情報分析官)

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家宅捜索の翌日、マールアラーゴの門前には「ストップ」の標識が MARCO BELLOーREUTERS

一部の機密文書は核兵器に関するものだった可能性がある。だが事態を直接的に知る前出の情報当局高官2人によれば、重視されたのはその点ではない。「トランプは自分にとって興味のある記録を保管していた」と、高官の1人は話す。「その対象はイランや北朝鮮の核、またはウクライナやロシア、特定の外国の指導者の場合もあった」

司法省が関心を抱いたのは文書のテーマ自体ではないという。トランプが個人的利益を得る目的を含めて、集めた情報を「武器」にすることを同省は危惧していた。

「ロシア介入疑惑やディープステート(国家内国家)の不正行為に関する記録に、トランプは特に興味を持っていた」と、元政権高官は本誌に語る。24年大統領選への再出馬に向けてこれらの情報を利用する可能性があったという。

情報当局高官2人の話では、捜査関係者が重視していたのは必ずしも文書の機密レベルや内容ではない。「大統領記録法が定めるとおり、公文書は機密度にかかわらず全て国立公文書館に返却されなければならない」と、高官の1人は指摘する。「FBIは間違いなく、全ての書類を回収するという任務を遂行した」

トランプが隠し持っていたもの

ただし、家宅捜索で押収された文書は明確に2種類に分かれるという見方は正しい。大統領記録法の下で公然と捜索されたものと、トランプが隠し持っていたものだ。

「国立公文書館が捜していた記録だけではない。捜査当局はより機密度が高いと判断した文書を見つけようとしていた」と、情報当局高官の1人は言う。「だが、前大統領に返却の意図がないと見なした文書も捜索の対象だった」

マールアラーゴの捜索という決断を促したのは、トランプ側との交渉が長引くなかで文書がほかの場所へ移されたり、トランプの文書利用によって、アメリカと雇用関係にある情報員の身元や電子的に傍受した機密などが表に出るかもしれないとの懸念だ。

トランプは家宅捜索当日の声明で、書斎か寝室に設置されていたとみられる私用の金庫を、FBIがこじ開けたと主張した(米政府はこの事実を未確認)。トランプが私的に保管していた記録は、押収品の大半を占めた機密文書11件が保存されていた収納室とは別の場所にあったと、情報当局高官2人は認める。

司法省は8月15日、FBIが不注意に押収したというパスポート3冊を返却した。高官2人に言わせれば、トランプの金庫が狙いであったことを認めたに等しい行為だ。

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