最新記事

インド

交通事故大国で生まれた「奇跡の赤ちゃん」

Woman gives birth minutes after being crushed by truck in India, dies minutes later

2022年7月27日(水)16時49分
サドナ・ヤダブ

生まれてきたのは奇跡(写真はイメージです) energyy-iStock.

<スピードを出し過ぎのトラックの下敷きになった母親が、息を引き取る前の数分間で赤ちゃんを産んだ>

妊娠8カ月の女性カミニが、インドのアグラにある自宅から実家に向かう途中で、不幸な事故にあった。

カミニは夫のラムーが運転するオートバイで移動中だった。反対方向から来た車との衝突を避けようとしたとき、ラムーはオートバイをコントロールできなくって、転倒した。

カミニはオートバイから投げ出され、スピードを出しすぎていたトラックに押しつぶされた。地元メディアの報道によると、カミニは路上に横たわった状態で産気づき、死の数分前に赤ん坊を出産したという。

目撃者らの話からすると、この恐ろしい事故にも関わらず、赤ん坊が生き延びたのは奇跡的なことだった。トラックに轢かれたカミニの身体は、かなりの部分がバラバラになっていたからだ。

交通事故死が世界最多

「赤ん坊は完全に危険な状態を脱した。早産のため、体重は少々不足している。へその緒が事故のために圧迫され、おへそに軽い傷がある。少し治療をするだけでいい」と、フィロザバード医科大学の小児部長LKグプタ医師は、地元紙タイムズ・オブ・インディアに語った。

「事故の無残な写真を見たが、母親の体は大部分がつぶれていた。この子が助かったのは、本当に奇跡としかいいようがない」

夫妻はカミニの65歳の叔父に会いに行く途中だった。癌を患っていた叔父はカミニの死を聞いて、その日の夕方、息を引き取った。警察は事故直後に現場から逃走したトラックの運転手を容疑者として捜索している。

世界銀行の報告書によると、インドでは毎年15万人以上が交通事故で亡くなっている。これは、世界のどの国よりも多い。全世界の交通事故による死者数のうち、最も数が多い。

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中