最新記事

人権問題

ミャンマー、民主活動家など4人へ死刑を執行 遺体の引き渡しすら許さず

2022年7月25日(月)19時50分
大塚智彦
死刑執行されたチョー・ミン・ユー氏(左)と ョ―・ザヤル・ゾー氏(右)

死刑執行されたコ・ジミー氏と ョ―・ザヤル・ゾー氏(右)MRTV / REUTERS

<アジア、欧米など国際社会の声を無視し1976年以来の執行>

ミャンマーの軍事政権は7月25日、著名な民主活動家や元民主政党議員など4人に対する死刑判決に基づき裁判所が死刑を執行したと発表した。軍政によると死刑は23日にヤンゴンのインセイン刑務所で執行されたとしている。

死刑を執行されたのは民主派指導者アウン・サン・スー・チー氏が率いていた与党「国民民主連盟(NLD)」の元国会議員ョ―・ザヤル・ゾー氏(41歳)と1980年代からの民主化運動の知名な活動家チョー・ミン・ユー(愛称コ・ジミー、63歳)氏、軍政のスパイを殺害したフラ・ミョ・アウン氏とアウン・トゥラ・ゾー氏の計4人。

ザヤル・ゾー氏とコ・ジミー氏は反軍政の立場から軍政関係者や軍に対するゲリラ攻撃を主導、また計画したとの容疑でそれぞれ2021年11月と10月に当局に逮捕され、その後2020年1月に裁判所が死刑判決を下したのだった。

その後裁判所やゾー・ミン・トゥン国軍報道官は「法に従い死刑は執行される」との見解を示し、死刑が執行されることを示唆していた。

ミャンマーで今回の4人に対する死刑執行は法に基づく執行としては1976年以来となる。

遺体の引き渡しすら許されず

反軍政の立場から報道を続けるミャンマーの独立系メディアなどによるとコ・ジミー氏らは執行の前日22日にインセイン刑務所で「Zoom」によるビデオ通話で家族との面会が許され言葉を交わしたという。

コ・ジミー氏は健康そうで気丈に見え、家族に対して「心配しないで欲しい。誰もが自分のカルマ(宿命)がある。ここ数日私は瞑想して自らのダルマ(真理)とともに生きる」と語ったという。

その後家族は「食べ物や薬を刑務所にこれ以上持参することを禁じる」と刑務所側に伝えられたという。

刑務所関係者によると死刑執行後4人の遺体はヤンゴン市内のティン・ピン墓地にその日のうちに埋葬されたという。

死刑執行の知らせを聞いたザヤル・ゾー氏とコ・ジミー氏の家族らは弁護士を伴ってインセイン刑務所を訪れて詳細な情報提供を求めたが、刑務所側はこれを拒否し、遺体の引き渡しの求めにも「法に反する」として拒んだと伝えられている。

軍政側は「刑罰は刑務所の手続きに基づいて行われた」との声明だけを発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

太平洋の警察活動に「中国の役割ない」、豪担当相が表

ワールド

政治資金パーティー、首相在任中は開催せず=岸田首相

ワールド

タイ製造業生産指数、1月は16カ月連続の低下 自動

ビジネス

日経平均は続落、米株安や日銀正常化を警戒 底堅さも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した小澤征爾
特集:世界が愛した小澤征爾
2024年3月 5日号(2/27発売)

圧倒的情熱でクラシック界に新風を吹き込んだ「世界のオザワ」がわれわれに遺したもの

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵と若者の衝突...帰還兵が路上で一方的に暴行される

  • 2

    中国株の暴落が止まらない 外国人投資家はほぼ撤退

  • 3

    もう取り返しがつかない?ロシアがウクライナ侵攻で犯した5つの失策

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    在日外国人と日本社会の共生努力を後退させる右派の…

  • 6

    ウクライナ戦争開戦から2年、NATO軍の元最高司令官が…

  • 7

    NATO軍とロシア軍がウクライナで直接衝突する可能性…

  • 8

    日本人は知らない、能登半島地震に向ける中国人の視線

  • 9

    生涯賃金から見える日本の学歴格差、男女格差、地域…

  • 10

    ゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロは「ホラーで社…

  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の生物」が...発見した住民が、正体を突き止めるまで

  • 3

    大雪で車が立ち往生しても助けなし...「不信の国」中国のあまりにお粗末な防災意識

  • 4

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 5

    ビートルズの伝説が始まったあの「初登場」から60年.…

  • 6

    「ロイヤルな風格と優雅な姿」...シャーロット王女の…

  • 7

    ウクライナ戦争開戦から2年、NATO軍の元最高司令官が…

  • 8

    ロシア兵と若者の衝突...帰還兵が路上で一方的に暴行…

  • 9

    メーガン妃は今でも「プリンセス」なのか?...結婚で…

  • 10

    【アウディーイウカ陥落】ロシアの近接航空支援や滑…

  • 1

    【能登半島地震】正義ぶった自粛警察が災害救助の足を引っ張る

  • 2

    一流科学誌も大注目! 人体から未知の存在「オベリスク」が発見される

  • 3

    ルーマニアを飛び立ったF-16戦闘機がロシア軍を空爆?

  • 4

    日本人は知らない、能登半島地震に向ける中国人の視線

  • 5

    プーチンの顔面に「異変」が...「頬どうした?」と話…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    シャーロット王女の「ただならぬ風格」...5つの「フ…

  • 8

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 9

    「まだやってるの?」...問題は「ミス日本」が誰かで…

  • 10

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中