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教育現場にこそ求められる、教員業務の効率化

2022年2月16日(水)11時40分
舞田敏彦(教育社会学者)

日本ではそれだけ手厚い教育が行われている、ということでもある。では他国は違う(いい加減)かといえば、そうではないだろう。ICT技術等の活用で業務を効率よくこなしているかもしれないし、他のスタッフと仕事をうまく分担していることも考えられる。しかし日本では、多くの業務を教員が一手に担っている。中学校教員の週平均勤務時間は56.0時間だが、そのうちの29.5時間が授業・授業準備以外の業務となっている。これが特異であることは、<図1>のグラフを見ると分かる。

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日本の中学校教員の勤務時間は最も長く(横軸)、そのうちの半分が授業・授業準備以外の業務だ(縦軸)。各種の事務作業、部活指導、果ては生徒管理(頭髪チェック)等だが、外国の人から「教員不足になるのは当然だ」と言われても仕方あるまい。ブラジルでは教員の仕事の95%は授業だが、日本もこうなれば教員数は今の3分の2くらいで足りるかもしれない。

教員不足解消の策として、なり手を確保する(人集め)に重きが置かれがちだが、働き方の質を変える余地が多分にあることは、国際比較のデータから明らかだ。基本は業務そのものを減らすこと、業務を分担することだ。前者については、2019年の中央教育審議会答申にて、学校や教員が担うべき業務の精選・仕分けがなされた。後者に関しては、「チーム学校」の考えのもと、心理カウンセラーや部活動指導員等のスタッフが学校に配置されるようになっていて、昨年の学校教育法施行規則改正で教員業務支援員が新設されている。

子どもの数は減っていくものの、児童生徒の背景の多様化もあり、学校への要請はますます多様化・高度化していく。令和の「持続可能」な学校は、教員の手だけでは実現できそうにない。

<資料:OECD「Education at a Glance 2021」
    OECD「TALIS 2018」

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