最新記事

ドラマ

朝ドラの深津絵里がスゴい! 18歳のサッチモちゃんを演じる彼女が称賛される理由は?

2022年1月17日(月)07時54分
木村 隆志(コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者) *東洋経済オンラインからの転載

ひさびさの連ドラ出演であるにもかかわらず、18歳をそつなく演じる姿を見た視聴者たちは、驚きとともに「やっぱり凄い」というコメントを次々にアップ。しかも深津さんが演じるヒロイン・るいは素直で素朴なキャラクターであり、住み込みで働くクリーニング店の明るい夫婦とともに、「安子編」の重苦しいムードを一掃してしまったのです。

そもそも同作が発表されたとき、「深津絵里さんが上白石萌音さんの娘役を演じるの?」と疑問視する人が少なくありませんでした。確かに「現在48歳の深津さんが23歳の上白石さんの娘役」というキャスティングは、直接的な共演シーンの有無にかかわらず違和感があります。

では、なぜなのか。やはり「『安子編』の重苦しいムードを引き受けたうえで一変させて視聴者を引きつけ、いい状態で3代目ヒロイン・川栄李奈さんにつなげられるのは深津さんしかいない」ということでしょう。また、深津さんは「母を憎みながら生きてきた苦しさ」「時折、母の記憶がよみがえり複雑な思いに」「自らも母となり、母の深い愛情に気づく」などの繊細な感情表現ができるからこそ、前後の2人をつなぐ2代目ヒロインに選ばれたようにも見えます。

実際、ヒロインを演じる3人のうち、上白石さんと川栄さんはオーディションで選ばれたのに対して、深津さんだけが制作サイドからのオファーでした。制作サイドは明確な狙いのもとに深津さんを最重要ポジションに据え、彼女は「安子編」の重苦しいムードを変えて視聴率を上昇させる救世主となったのです。

メインビジュアルが役作りを立証

振り返ると2010年代は、鈴木保奈美さん、中山美穂さん、石田ひかりさん、常盤貴子さんら、深津さんと同じ1990年代から2000代前半に主役を務めた女優が連ドラに本格復帰しました。彼女たちの出演作が放送されるたびに、称賛の声だけでなく、過去との違いを揶揄する声も上がっていましたが、今のところ深津さんにはほとんど見られません。

その理由として考えられるのは、「深津さんの演じる、るいが昭和30年代の18歳に見える」こと。表情、姿勢、声色などのさまざまな点で、当時の18歳を思わせるような役作りが見られますし、クリーニング店の妻を演じる濱田マリさん(53歳)とは「実年齢は5歳差なのに母子のように見える」ことも、役作りの確かさを物語っています。

また、1月6日放送の第46話で深津さんは、若々しさあふれるシャーベットカラーのサマードレス姿を披露。さらにそれを見たトミー(早乙女太一)の「地味にしててもあふれる気品。ただものやない思ってたんや」というセリフがありました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中