最新記事

感染症対策

中国天津市、1400万人市民のコロナ強制検査開始 トヨタ工場も影響受け操業停止

2022年1月12日(水)14時44分
中国の写真は天津市の大規模コロナ検査場

中国の天津市は12日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大抑制策として、1400万人の市民を対象に新たな大規模検査を開始した。一方、一部のアナリストはオミクロン変異株に伴う規制が中国の経済成長を阻害する可能性があると指摘している。写真は天津市の大規模検査場で9日撮影。cnsphoto提供(2022年 ロイター)

中国の天津市は12日、新型コロナウイルスオミクロン株の感染拡大抑制策として、1400万人の市民を対象に新たな大規模検査を開始した。一部のアナリストはオミクロン変異株に伴う規制が中国の経済成長を阻害する可能性があると指摘している。

トヨタ自動車は合弁会社の天津工場が10日から操業を停止していることを明らかにした。サプライヤーが天津市民に対する強制検査の影響を受けているためという。

トヨタはロイターに対し、政府の指示や、地域社会およびサプライヤーの安全・安心が確認され次第、操業を再開する計画だと述べた。

当局のデータによると、天津市は11日に確認された有症状の新型コロナ国内感染者が33人だったと報告。前日の10人から増加した。

同市は12日、2回目の大規模検査に応じるため、企業やその他機関の従業員に半日休暇を命じ、自宅待機を要請した。

また、オミクロン株の市中感染が確認されている中部の河南省安陽市では、前日に2人だった有症感染者数が11日には65人に急増した。

孫春蘭副首相は河南省を訪問し、オミクロン株が同市の感染抑制の取り組みを難しくしていると指摘。新華社が11日遅くに報じたところによると、副首相は「検査と疫学調査の効率を一段と高め、コミュニティーレベルの厳しい対策を講じる必要がある」と述べた。

天津、安陽両市ともにオミクロン株感染者の総数は不明。両市では大規模な検査が行われており、住民の市内での移動が制限されているほか、町外への外出も困難になっている。

こうした中、ゴールドマン・サックスのアナリストは、オミクロン株封じ込めに向け規制が強まりそうだとし、2022年の中国経済成長率予測を従来の4.8%から4.3%に下方修正した。対策が強化される可能性があることによる経済的コストを理由に挙げた。

また、モルガン・スタンレーのアナリストは、オミクロン株が「中国のゼロコロナ戦略の下では、利益よりもコストの方が大きいことを意味する」可能性があるとして、今年第1・四半期の成長率予測に下振れリスクがあると指摘した。

天津と安陽での感染を含め、中国本土では11日に計166人の有症状の国内感染者が報告され、前日の110人を上回った。新たな死者はいなかった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ

ワールド

OPECプラス有志国、8月増産拡大を検討へ 日量5

ワールド

トランプ氏、ウクライナ防衛に「パトリオットミサイル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    反省の色なし...ライブ中に女性客が乱入、演奏中止に…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中