最新記事

インデックス投信

株式インデックス投資、何が良いか──先進国株、新興国株、米国株と日本株、どれを選ぶ?

2021年10月11日(月)19時30分
熊紫云(ニッセイ基礎研究所)

次に予想PERは投資家が期待する今後の企業の収益の成長力を示す指標の一つである。S&P500を構成する米国企業は2014年以来、TOPIXを構成する日本企業との差が拡大してきている【図表10】。一方で、投資家が見誤り、予想PERが高すぎるという可能性も大いにあるが、長期に亘って予想PERが高いとなると、米国企業の成長力はずっと期待され続けており、かつその期待を裏切っていないことになる。

このようにROEと予想PERの過去のデータからみる限り、企業の収益力と投資家の成長期待が高いのは米国企業であり、将来10年くらいは、米国企業が優位であり続けるであろうと筆者は考えている。

加えて株式インデックスの銘柄選択のルールにも留意したほうが良いものと思われる。大半の株式インデックスは銘柄のスクリーニングがあり、時価総額などの条件に基づいた銘柄の入れ替えがある。中には、S&P500のように企業の収益力を銘柄選択条件とするインデックスもある。銘柄選択条件を満たさなくなった企業を除外して、他の有望企業を自動的に追加してくれるため、個別銘柄を吟味する必要がない。選択条件が厳しく、銘柄数が少なく常に優良企業が構成される株式インデックスに投資するという考え方も良いものと思われる。

nissei20211011165409.jpg

6――まとめ

家計の金融資産構成について日米を比較すると、2021年3月末時点日米の現預金(日:54.3%、米:13.3%)と投信・株式(日:14.3%、米:51.0%)の比率がまさに正反対である8。特に日本は家計の預貯金額は総額1,000兆円を超えており、リスク回避傾向が非常に強いことがわかる。

本稿では、低金利環境が続いている中、預貯金以外の資産形成手段として、株式インデックス投資が非常に有効であることを示した。このことを多くの人に知ってもらいたい。価格が下がり損を抱えるリスクはあるものの、いつかは値を戻すということを信じて、売らずに我慢して長期保有すれば損はしにくい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米労働市場の弱さで利下げ観

ワールド

メキシコ中銀が0.25%利下げ、追加緩和検討を示唆

ビジネス

米国株式市場=下落、ハイテク企業のバリュエーション

ワールド

エジプト、ハマスに武装解除を提案 安全な通行と引き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 5
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 8
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中