最新記事

犯罪

6歳で殺された息子の死に「意義」を...社会と政治を動かした父親の闘い

I’ve Helped Capture Murderers

2021年10月8日(金)20時47分
ジョン・ウォルシュ(テレビ番組司会者、犯罪対策活動家)
ジョン・ウォルシュ

『AMW』は指名手配犯1000人以上の逮捕に大きな役割を果たした YANN GAMBLINーPARIS MATCH/GETTY IMAGES

<子供を失った悲しみと警察の不十分な対応が、犯罪捜査番組と多くの正義を生んだ>

1981年7月27日、私の家族は永遠に変わってしまった。その日、妻のルベは6歳の息子アダムと、フロリダ州ハリウッドのデパートで買い物をしていた。正午過ぎ、見本の家庭用ゲーム機で遊ぶ子供たちを見ているアダムを置いて、妻はその場を離れた。安全な場所のはずだった。

だが数分後に戻ってくると、アダムはいなくなっていた。

後に判明したことだが、子供たちがけんかになり、アルバイトの17歳の警備員がアダムもその群れの1人だと誤解したという。警備員は子供たちに店から出ていくよう命じ、そうしてアダムは姿を消した。

地元警察は、アダムが勝手にどこかへ行ったに違いないと判断した。法執行機関からは事実上、何の支援も得られず、私は自分で動くことを迫られた。メディアに働き掛け、失踪から16日後になって、ようやく息子の写真が全国放送のテレビ番組に登場した。

同じ日、わが家から200キロ近く離れた排水路で、アダムの遺体の一部が発見された。ほかの部分は見つからないままだった。

アダムの死に意味を与えるため

何週間も何カ月も、立ち直ることができなかった。その後、何かが変化した。無意味で、あまりにむごいアダムの死に少しでも意味や意義を与えるには、行動を起こす必要があると悟ったのだ。

私たちのように、想像を絶する悲劇に苦しむ家族をこれ以上出さない――。妻と私は活動に乗り出した。

行方不明児童法がアメリカで立法化されたのは82年10月。84年には、行方不明児童援助法が成立した。前者は極めて強力な法律で、FBIは全ての行方不明児童をデータベースに登録することを義務付けられた。

これこそ、アダムが行方不明になった後に当局に懇願したことだ。私たちの取り組みが始まるまで、身元不明の死亡児童を網羅する全国的データベースは存在しなかった。

その後、私は捜査番組『アメリカズ・モスト・ウォンテッド(AMW)』の司会者になったが、番組に参加するに当たっては条件があった。警察ではなく、法の知識を持つ者が応じるホットラインを設置することだ。取り上げる事件は私が選び、連邦保安局やFBIと直接協力したかった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

FRB3会合連続で0.25%利下げ、 反対3票 来

ビジネス

FRBに十分な利下げ余地、追加措置必要の可能性も=

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想

ワールド

米地裁、トランプ氏のLAへの派兵中止命じる 大統領
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中