スーパーヒーローが乗り出した「政治改革」、若者層の動きが大きなうねりに

A SUPERHERO’S NEW MISSION

2021年8月19日(木)18時48分
デービッド・H・フリードマン(ジャーナリスト)

210824P40FRANTZ_CES_05.jpg

辛口で知られるイルハン・オマル下院議員も動画の中ではトーンダウン ELIZABETH FRANTZーREUTERS

左右両派の言い分を聞くということにもエバンスはこだわった。自他共に認める民主党支持者である彼にとって、この決断は楽ではなかった。「ここ数年、あちらの党の多くの人々の行動は品位を欠いていた。両党の人々に出演を呼び掛けるのはやっぱり気が進まなかった」

保守派も最初は同じ気持ちだったらしい。当初出演を依頼した保守系議員にはことごとく断られた。ハリウッドのリベラルがまた左派系メディアでわれわれをさらし者にしようとしている、というわけだ。だが出演時間を平等にすること、党派色抜きの編集とすることを伝え続け、徐々に信頼を得ていった。

ただし嘘や根拠のない主張、いわゆる陰謀論を唱えることは禁じている。つまり、共和党議員が「不正防止」を理由に投票制限の強化を主張するのはOKだが、その際に昨年の大統領選で「票が盗まれた」と言い張ることは許されない。

共同設立者のキアニは言う。「好き嫌いは別として、ここに招かれるのは選挙に勝って議会に送り出された人たちだ。だから私たちは彼らに、誰にも邪魔されずに自分の意見を述べる機会を与えている。行き過ぎた誇張がない限りはね」

実際、「ア・スターティング・ポイント」上の動画では誰もがくつろいだ雰囲気で話している。時にはすごく私的なエピソードも飛び出す。例えば民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、自分の政治の原点は1968年の大統領選挙でユージン・マッカーシーの予備選を手伝ったことにあると告白した。

テレビ出演時などより穏やかな語り口

好戦的な態度で知られる議員が、自分のイメージを和らげようとするケースもある。例えば共和党のダン・クレンショー下院議員(テキサス州)は、今の上院は党派色が強いように見えるだろうが、実際にはみんな舞台裏で、多くの問題について超党派で協力していると語った。

自分の意見を強く主張する議員もいるが、そのトーンはテレビの報道番組に出演する時に比べれば穏やかだ。歯に衣着せない発言で知られる民主党の女性下院議員イルハン・オマル(ミネソタ州)も、トランプ前政権によるイラン核合意離脱を非難し、バイデン現政権による対応の鈍さを批判したが、さほど辛辣な口調ではなかった。

Z世代のうち、昨年の大統領選でトランプに投票したのは全体の5分の1にすぎず、約3分の2はバイデンに投票した。この差は他のどの年齢層よりも大きい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:メキシコ大統領、酔った男に抱きつかれる被

ビジネス

再送(5日配信の記事)-川崎重工、米NYの地下鉄車

ワールド

アルゼンチン通貨のバンド制当面維持、市場改革は加速

ビジネス

スズキ、4ー9月期純利益は11.3%減 通期予想は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中