最新記事

東京五輪

異例づくめの東京五輪が閉幕へ メダル最多の日本、「バブル」外で感染急増

2021年8月8日(日)10時09分

政治的な問題も大会期間中に浮上した。ベラルーシ陸上女子のクリスチナ・チマノウスカヤが、コーチらに強制帰国させられそうになる事件が発生。チマノウスカヤはコーチらをソーシャルメディア上で批判した後に東京の羽田空港に連れて行かれたと主張し、亡命を求めた。ポーランドが彼女に人道的査証を発行した。

ベラルーシはルカシェンコ大統領が1994年から同国を厳しく支配。昨年夏の選挙で勝利後、不正があったとする市民が大規模な抗議デモを行ったが、これを暴力で弾圧した。選手が政府からの支援に依存する国としては珍しく、ベラルーシではアスリートも抗議に参加、複数が投獄されたり、代表チームから外されている。

選手は楽しめているか

女子体操の米国代表シモーン・バイルスが欠場したことにも、世界の目が注がれた。リオ五輪4冠のバイルスは、全米の期待を背負って来日したが、精神的な理由で団体総合決勝を途中棄権した。「あまり楽しめていない気がする」──。

米体操連盟やIOCは彼女の決断を支持。バイルスはその後調整を重ね、最終種目の個人平均台で復帰し銅メダルを獲得した。

「メンタルヘルスの問題に光を当てることは私にとって大きな意味がある。結局のところ私たちは人間であって、単に人を楽しませるモノではないということを人々は理解すべきだ」とバイルスは訴えた。

今大会では猛暑も問題となった。試合中に体調を崩す選手が続出。テニス男子シングルスに出場したダニル・メドベージェフ(ロシア・オリンピック委員会=ROC)は試合中、「死んだら誰が責任を取るんだ」と審判に訴えた。

アスリートに最高のパフォーマンスを披露してもらうための場をいかに提供するか、公平な多様性をどう図るのか。政治の介入を防げるか、そしてコロナをどう克服するか、様々な課題が24年のパリ大会に引き継がれる。

(久保信博 編集:伊賀大記)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・なぜ五輪選手が亡命を余儀なくされるのか ベラルーシ政治情勢まとめ
・東京五輪、中国人バド選手が韓国ペアとの試合中に「罵倒」連発で騒動に
・「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女子ビーチハンド代表


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、停戦合意にレバノン含める必要と仲介者に伝達

ワールド

米副大統領、選挙控えるハンガリー訪問 4月7─8日

ビジネス

米国株式市場=反発、中東情勢の沈静化に期待

ワールド

米、ドンバス全域割譲を和平条件に ゼレンスキー氏「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中