最新記事

暑さ対策

「街路樹や庭木でも暑さ対策への効果が期待できる」との研究結果

2021年8月5日(木)17時54分
松岡由希子

森林だけでなく、単木でも、一定の冷却効果がある...... manwolste -iStock

<森林だけでなく、街路樹や庭木といった単木でも、一定の冷却効果があることが明らかとなった>

樹木の下では、樹冠の陰と葉の蒸散作用によって気温や地表面温度が下がる。2021年7月9日に学術雑誌「エンバイロメンタル・リサーチ・レターズ」で発表された研究論文によると、森林だけでなく、街路樹や庭木といった単木でも、一定の冷却効果があることが明らかとなった。

街路樹や庭木といった単木でも、冷却効果があった

米アメリカン大学の研究チームは、2018年8月28日、夜明け前の5〜6時、午後14〜15時、夕方18〜19時の3つの時間帯にわたり、ワシントンD.C.の様々な地点で計7万件以上の気温データを収集。また、2019年4月時点のデータをもとにワシントンD.C.内327カ所の樹冠をマップ化して、「舗装面の樹冠」と「未舗装面の樹冠」に分類し、さらに「未舗装面の樹冠」を公園などの「密集した樹冠」と庭木のような「分散した樹冠」に細分化した。

一般化加法モデル(GAM)を用いてそれぞれの樹冠における各時間帯の気温偏差を予測した結果、木々が生い茂る公園の樹冠では、午後に1.8度の冷却効果が認められた。分散した単木からの樹冠で半分以上が覆われているエリアでは、木がほとんどないエリアに比べて、夕方の気温が1.4度下がることもわかった。夜明け前の時間帯でも、分散した単木からの樹冠で約20%が覆われるエリアは、木がないエリアよりも涼しい。つまり、午後や夕方の冷却効果は夜通し続いていると考えられる。

「単木が果たす暑さの緩和の役割を過小評価すべきではない」

研究論文の筆頭著者でアメリカン大学のマイケル・アロンゾ准教授は、一連の研究成果をふまえ、「都市部の暑さの緩和において単木が果たす役割を過小評価すべきではない」と指摘。特に公園の敷地に限りがあるエリアでは、都市部の暑熱対策として、道路脇や庭などに単木を植えることを勧めている。

緑の少ない都市部では、ヒートアイランド現象により、昼夜を問わず、郊外に比べて気温が高い状態が続く。アロンゾ准教授は「夜は、かつてのように暑さから解放されるひとときではなくなった」とし、「単木を分散させることで、都市部の暑さの緩和につながる。これは人々の健康にとっても重要だ」と述べている

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行融資、12月は企業業向け減速 家計向け

ビジネス

英アストラゼネカ、中国に150億ドル投資 スターマ

ワールド

米ウェイモの自動運転車、小学校付近で児童と接触 当

ワールド

独首相、ルールに基づく国際秩序強調 「関税の脅しに
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中