最新記事

感染第5波

東京の新規コロナ感染4989人で過去2番目の多さ 専門家「制御不能」と警鐘

2021年8月12日(木)18時56分

東京都は、新型コロナウイルスのモニタリング会議を開き、最近の感染状況に関して専門家は「かつてないほどの速度で感染拡大が進み、新規陽性者数が急増しており、制御不能な状況」と指摘した。写真は都内で5月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

東京都で12日、新たに4989人の新型コロナウイルス感染が確認された。これまでの最多は5日の5042人で、それに次ぐ多さ。NHKによると、全国の感染者は1万8822人となり、過去最多を更新した。

東京都の重症者数は前日より21人増え218人と過去最多となった。都が同日開いたモニタリング会議では専門家から「かつてないほどの速度で感染拡大が進み、新規陽性者数が急増しており、制御不能な状況」と警戒する声が出た。

モニタリング会議では、重症患者が急増していることで医療提供態勢についても「現状の感染状況が継続するだけでも、維持が困難になる。深刻な機能不全に陥っている医療提供態勢がさらに圧迫され、救うべき命が守れなくなる」との説明があった。

東京の人流、5割削減が必要に

東京都の小池百合子知事は、デルタ株に関し「大変手ごわい。これまで以上に危機感を持って感染防止対策を徹底していくことが必要だ」と強調し、人流や外出の一段の抑制、出勤者の削減などをあらためて求めた。人流の削減では、緊急事態宣言開始(7月12日)直前の約5割削減が必要だとしている。

政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長も12日会見し、東京都の人流の約5割削減などを提言。尾身会長は医療体制について「このままでは救える命が救えなくなる」と警鐘を鳴らし、現状は自然災害に近い状態で「災害医療として考えないと、この難局を乗り越えられない」と述べた。

尾身会長は医療逼迫を解消するため、これまでコロナ対応に取り組んでこなかった医療機関に対し、国や自治体が協力を要請する必要があると指摘。また、一般診療を多少制限する必要があるとも述べた。

地方でも拡大、緊急事態宣言の要請相次ぐ

地方でも感染が急拡大しており、この日の大阪府の新規感染者数は1654人と前日に続き過去最多となった。共同通信などは福岡県でも初の1000人超、兵庫で728人など最多と報じている。

西村康稔経済再生担当相によると、茨城県から緊急事態宣言の要請があった。既に福岡県から要請を受けているほか、兵庫県・京都府も要請を視野に入れているといい、西村再生相は「必要あれば機動的に対応したい」と述べた。

(田中志保、竹本能文 編集:青山敦子、橋本浩)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ」が物議...SNSで賛否続出
  • 3
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 8
    高市首相の「台湾有事」発言、経済への本当の影響度.…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    中国人爆買いが転機、今後は「売り手化」のリスク...…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中