最新記事

テレビ

東京五輪、視聴率苦戦の根本理由

Olympic TV Ratings: How Many People Will Watch The 2021 Tokyo Games?

2021年7月27日(火)20時31分
アンソニー・リッコボーノ(IBタイムズ記者)
国立競技場

史上最も静かなオリンピックとなった東京大会 Yukihito Taguchi-USA TODAY Sports

<パンデミックの影響で異例の1年延期、ほぼ無観客、さらに開催都市への関心も今ひとつ?>

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のなか開幕した東京五輪は、近代五輪史上で他に類を見ない異例の大会となっている。だが、偉大なアスリートたちが競い合う雄姿を、テレビで視聴する人がどれだけいるのだろうか。多くのプロスポーツリーグが視聴者数の減少に頭を悩ませるなか、東京五輪もまた、TV視聴率が振るわない結果となる可能性がある。

アメリカ国内でオリンピック・パラリンピックの独占放映権を持つNBCには、視聴者を確保する上で幾つもの難題に直面している。まず、パンデミックの影響で東京五輪が1年延期されたこと。日本での新型コロナ感染拡大により、東京大会はほぼ無観客での開催が決定していることも、大会の様相を大きく変える要因だ。

予定どおり2020年に開催されていたとしても、東京五輪に対する人々の関心は薄かった可能性がある。スポーツ・メディア・ウォッチ社によれば、2016年のリオデジャネイロ五輪では、NBCのゴールデンタイムの放送視聴率は平均14.4%(視聴者数2540万人)。視聴率が良かった2012年のロンドン五輪から18%の減少で、夏季五輪のテレビ視聴率としては、2000年以降で最低だった。2008年の北京大会では、ゴールデンタイムの平均視聴率は16.2%(視聴者数は平均2770万人)だった。

プロスポーツも無観客は低視聴率

ハリウッド・リポーター誌によれば、アメリカではケーブルテレビまたは衛星放送の加入世帯数が、2016年の8600万から、2021年のはじめには7700万にまで減っている。この数字にはHuluライブとYouTubeライブの購読世帯数も含まれるため、オリンピックの視聴率がさらに下がることは避けられないかもしれない。

視聴者は、各競技会場に観客が入っていないことを嫌うだろうか。それは分からないが、NHL(北米プロアイスホッケーリーグ)、NBA(米プロバスケットボール)やMLB(大リーグ)はいずれも、無観客試合のテレビ視聴率が低かった。それでも、そのほかの数多くの要素の方が、視聴率にもっとずっと大きな影響を及ぼしたことは明らかだ。

NBCスポーツの広報担当者はハリウッド・リポーターの取材に対して、「東京五輪が無観客で開催されることには落胆しているが、我々はずっと以前から、NBCの数多くのプラットフォーム上での視聴体験を充実させるための計画を推し進めてきた」と述べ、さらにこう続けた。「パンデミックの発生以降、無観客のイベントは数多く経験してきた。無観客は残念ではあるが、だからといってアメリカをはじめ世界中のアスリートたちの素晴らしい物語や成果が損なわれることはない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入の有無にコメントせず 「24時間3

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中