最新記事

プロパガンダ

マイアミのコンド倒壊を嘲笑った中国でホテルが倒壊、それでも中国は「勝った」と主張

China, After Mocking Surfside Rescue, Hit by Hotel Collapse Disaster

2021年7月14日(水)18時02分
ジョン・フェン
倒壊した蘇州市のホテル

倒壊した蘇州市のホテルの瓦礫の山で犠牲者を「素早く」捜索する救助隊 cnsphoto via REUTERS

<フロリダ州のコンドミニアム崩壊と、残存部分の爆破解体を見て大喜び。犠牲者を見捨てるアメリカはもう「人権の灯台」ではなくなったと断罪>

7月12日に中国東部でホテルの崩壊事故が起き、中国の外交官たちにとって、なんとも皮肉な展開となっている。彼らは数日前までツイッターに、フロリダ州で起きたコンドミニアム倒壊現場の捜索・救助活動をあざ笑う投稿を続けていたからだ。

倒壊事故が起きたのは、江蘇省沿岸の蘇州市にある四季開源ホテル。地元当局によれば、3階建ての建物が崩れ落ち、瓦礫の山と化した現場では、現在も9人が行方不明になっており、600人以上が捜索に参加しているという。

13日の記者会見で、当局は、23人の犠牲者のうち14人が現地時間午前7時の時点で瓦礫のなかから救出されたと発表。8人の死亡が確認され、5人が入院し、1人が家に送られた。

行方不明者を含む犠牲者に関する情報はまだ明らかにされていない。当局は、18人の身元が確認されたとしつつも、詳細は明らかにしなかった。全員が宿泊客とみられている。

蘇州武江区の現場で捜索救助活動の調整にあたった地元消防署の職員チェン・シーアンは、救助は「非常に難しい」と記者団に語った。

「それほど高い建物ではないが、全体が完全に倒壊した。建物はすべて粉々になった」と、彼は説明した。

このホテルは客室54室の格安ビジネスホテルで、30年以上にわたって何度も名称を変え、昨年3月に新しいオーナーの下で営業を再開していた。

調子に乗った外交官たち

地元当局は、建物の構造を改変したことが倒壊の原因となった可能性があると見ており、原因調査するためのタスクフォースを結成した。

地元の緊急対応機関によれば、建物の倒壊は現地時間の12日午後3時33分頃に起きた。

一方、フロリダ州サーフサイド市でコンドミアムが部分倒壊したのは6月24日。この事故では94人の命が奪われ、22人がいまだに行方不明になっている。

中国の国営メディアは、7月1日の共産党建党100周年を前に、マイアミ郊外で起きたこの災害を大々的に報じた。

数日後に中国の外交官たちが口を出し始めた。彼らはアメリカと中国の公的な救助活動のあり方が対照的だと主張するツイートを投稿した。

フロリダ州の救助当局がハリケーンの接近に備えてコンドミニアムの危険な残存部分を爆破解体する決断をすると、中国メディアのアメリカ批判はさらにエスカレートした。残った建物は7月4日夕方に爆破され、20分後に救助活動が再開された。

中国外務省の華春瑩(ホア・チュンイン)報道局長は7月7日、ツイッターに「フロリダ州のコンドミニアムでは100人以上が行方不明。なんと辛い!自然災害か、人災か?中国では考えられない」と投稿した。

「行方不明者を見捨てたアメリカ」
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米マイクロン、米政府から60億ドルの補助金確保へ=

ビジネス

EU、TikTok簡易版のリスク調査 精神衛生への

ビジネス

米オラクル、日本に80億ドル超投資へ AIインフラ

ワールド

EU首脳、対イラン制裁強化へ 無人機・ミサイル製造
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像・動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 5

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 6

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    対イラン報復、イスラエルに3つの選択肢──核施設攻撃…

  • 10

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中