最新記事

韓国

韓国、学生は原発処理水放出に断髪で抗議、専門機関は「科学的に問題ない」

2021年4月23日(金)16時45分
佐々木和義

福島第一原発の処理水放出決定に断髪で抗議する韓国の大学生  REUTERS/Kim Hong-ji

<福島第一原発の処理水を海洋放出するという日本政府の方針に対し、韓国は強く反発している。韓国内の情勢を整理する...... >

福島第一原発の処理水の海洋放出に反対している韓国で、4月20日、国会外交統一委員会が開催され、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官を叱責する声が相次いだ。鄭長官は19日、国際原子力機関(IAEA)の基準に適合する手続きに従うなら反対しないと、条件付きで放出を認める発言をしたためだ。委員会で与党議員が鄭長官を批判すると、長官は断固として反対していると釈明した。

韓国政府は、国際社会を巻き込んで反対したい考え

2021年4月13日、日本政府が福島第一原発の処理水を海洋放出する方針を決め、韓国、中国、北朝鮮が反発、台湾やロシアなどが懸念を表明している。

東京電力が福島第一原発の建物に流入した雨水と地下水に含まれる放射能物質を多核種除去設備(ALPS)で取り除いて貯蔵してきたが、2022年10月頃に満杯になるとみられており、規制基準値を下回る処理水を海洋に放出すると発表した。

韓国政府は処理水の海洋放出に強く反発している。青瓦台(大統領府)や海洋水産部などがあらゆる措置を取ると発表。文在寅大統領は14日、青瓦台で相星孝一駐韓日本大使から信任状を受け取った際、韓国政府と国民の憂慮を本国に伝えるよう要請した。

済州道のウォン・ヒリョン知事は、在済州日本総領事館の井関至康総領事に遺憾の意を伝え、日韓両国の裁判所と国際裁判所にも提訴する方針を明らかにし、忠清南道のヤン・スンジョ知事は韓国の自治体が共同で対応する案を提示した。

韓国の31の市民団体で構成する「脱核市民行動」は、日本政府の決定は「核テロ」だとしてあらゆる手段を講じるという声明を出している。

西海岸の忠清圏水産協同組合協議会、全羅道の麗水や海南の水産業従事者、日本海沿岸最大の浦項市竹島魚市場など、官民あげて処理水の海洋放出に反対している。また、大学生34人が、団体で断髪をすることで、海洋放出に抗議した。

South Korean youth shave heads in Fukushima protest


最大野党「国民の力」は、国会で新型コロナウイルスのワクチン供給状況が後進国レベルだとして、積極的なワクチン外交を要求していたが、政府、与党と一部の野党が処理水に集中、ワクチン確保の議論が棚上げになりかねない状況になっている。

韓国政府は、国際社会を巻き込みたい考えで、中国外務省とテレビ会議を行なって両国が協力して反対する立場を確認した。一方、韓国から反対への協力要請を受けた米国は訪韓したジョン・ケリー大統領特使が、日本とIAEAを信頼していると述べ、介入しない考えを示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

追加利下げの理由見当たらず、インフレなお高すぎる=

ビジネス

FRB政策「良好な位置」、今年の経済見通し堅調=S

ワールド

トランプ氏、イラン情勢注視 全ての選択肢排除せず=

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長人選を数週間以内に決定へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 3
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 4
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 8
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 9
    母親「やり直しが必要かも」...「予想外の姿」で生ま…
  • 10
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中