最新記事

中国

米上院の「中国対抗法案」に中国激怒!

2021年4月23日(金)12時16分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

第213条「台湾政府の扱い」には、以下のようなことが書いてある。

●国務省およびその他のアメリカ政府機関は、民主的に選出された台湾政府に対し、アメリカ政府が他の外国政府と関わるときと同じように、同じ名称およびプロトコル(外交上の儀礼)を使用して関わるものとする(筆者注:もし台湾政府が「中華民国」と名乗るのであれば、他の国に対するのと同様に、台湾政府に対しても「中華民国」という名称を用いる、という意味である)。

●アメリカ政府は、国務省およびその他のアメリカ政府機関の職員が台湾政府のカウンターパートと直接かつ日常的に交流する能力に、いかなる制限も加えてはならない。

●本規定は、中華民国(台湾)との外交関係の回復を意味するものではなく、また、台湾の国際的地位に関する米国政府の立場を変更するものでもない(筆者注:台湾を外交儀礼に従って他国同様「中華民国」と称することにするが、これは決して「一つの中国」原則を逸脱するものではなく、「一つの中国」原則は維持するという意味)。

中国、「激怒!」

中国(北京政府)にとって、これは到底許されるものではないだろう。中国が言うところの「国家の核心的利益」にストレートに抵触する内容に満ちている。

法案が上院外交委員会で可決したのを受けて、中国時間の22日朝6時に中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版(海外情報を主として報道)「環球時報」電子版「環球網」が即時に「米議会がバイデン政府に中国に対抗するよう圧力を掛けたものだ」として伝え、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTV国際チャンネルは同日お昼のニュース番組のほとんどの時間を使って「2021年 戦略競争法案」に対する抗議を表明する特集を組んだ。

その報道ぶりは尋常でなく、キャスターが目をキッと光らせて語気を強めるたびに体を震わせるほどの勢いで怒りを表明し、また解説委員が出演して、これも語気を荒げて激しくアメリカを非難した。

一方、全国人民代表大会外交委員会は、正式に「抗議談話」を発表し、それに合わせて、中国共産党機関紙「人民日報」電子版「人民網」中国政府の通信社「新華社」など、多くのウェブサイトが一斉に報道した。その主な内容を列記する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の

ビジネス

アマゾン、豪データセンターに5年間で130億ドル投

ワールド

イラン世界最大級ガス田で一部生産停止、イスラエル攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中