最新記事

パンデミック

インド、コロナ新規感染35万2991人で5日連続世界最多更新 軍や欧米諸国が緊急支援へ

2021年4月27日(火)09時35分

インドで、1日当たりの新型コロナウイルス感染者が35万2991人となり、5日連続で世界最多を更新した。写真は病院に運び込まれる患者。アフマダーバートで21日撮影(2021年 ロイター/Amit Dave)

インドで26日、1日当たりの新型コロナウイルス感染者が35万2991人となり、5日連続で世界最多を更新した。欧米諸国が緊急支援に乗り出す中、インド政府は軍隊の医療インフラを可能な限り民間に提供すると発表した。

保健省によると、累計の感染者は1700万人を突破。1日当たりの死者は2812人で、こちらも過去最多。これまでの死者は19万5123人に達した。専門家は、実際の死者数はこれより多いとみている。

モディ首相は25日、全国民にワクチン接種と警戒を呼び掛けた。病院は患者であふれ、医師は医療崩壊を訴えている。

インド国防参謀長のラワット陸軍大将はモディ首相との会合で、軍で備蓄している医療用酸素を病院に提供するほか、医療分野の退役軍人を新型コロナ関連の医療施設に派遣すると述べた。

25日にはバイデン米大統領がワクチンの原材料や医療機器などをインドに送ると表明。ドイツも医療機器や救援物資を送る方針を示した。

また欧州連合(EU)当局者は26日、インドから医療用酸素と米製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発した抗ウイルス薬「レムデシビル」の支援要請を受けたと発表。現時点では、アイルランドやドイツ、フランスが支援する方針を示しており、「今後、数時間から数日でさらに多くの支援が確認できるだろう」とした。

ロシアの政府系ファンド、直接投資基金(RDIF)のキリル・ドミトリエフ総裁は26日、同国の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」について、インドが初回出荷分を5月1日に受け取ると明らかにした。出荷量などには言及しなかった。

同総裁はロイターに対し、「初回分は5月1日に納入される」と述べ、インドの危機脱却に寄与することに期待を示した。

スプートニクVの海外展開を管轄するRDIFは、インドの大手メーカー5社との間で年間8億5000万回分超のワクチンを生産する契約をすでに結んでいる。

RDIFはこれまでに、インドでのワクチン生産が今夏までに月5000万回分に達し、その後さらに拡大するとの見通しを示している。

また、ロシアの製薬会社ファーマシンテズは26日、ロシア政府の承認が得られれば、5月末までに最大100万箱の「レムデシビル」をインドに出荷する準備ができていると発表した。

一方、タイは感染拡大阻止に向けインドからの渡航禁止に乗り出した。

ニューデリーのタイ大使館は声明で、タイ国籍を持たないインドからの渡航者に対する入国証明書を停止すると発表した。

インドは地方選挙が続いており、感染が拡大する中での選挙活動が批判されている。26日も西ベンガル州や1日平均3万人の感染者が出ているウッタル・プラデーシュ州などでも投票が行われる。

政府統計によると、インドの1日当たりのワクチン接種は5日に450万人に達したが、その後は平均で約270万人にとどまっている。マハーラーシュトラ州の一部地域では25日、供給不足で接種が中止された。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、インドのコロナ感染状況については「悲惨な状況を超えている」とした上で、同国に対する人的・物資的支援の拡大を表明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中