最新記事

ビットコイン

ビットコインに「600万円の価値」があると米大手企業が認める理由とは

2021年3月17日(水)11時51分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

ビットコイン蓄積を続ける「クジラ」

機関投資家や大手企業など大口投資家の動向は、ブロックチェーン上の取引データからも見られることができる。

仮想通貨取引所クラーケンのリサーチ機関であるクラーケン・インテリジェンスは、100BTC以上を持つアドレスを「クジラ(Whales)」と定義。クジラによるビットコインの保有数の推移を見ると、例えば2021年1月はビットコインが最大で32%も下がった荒れ相場だったにもかかわらず、クジラは怯むことなく着実に保有数を増やしていった。

100BTC以上もつアドレス(クジラ)のビットコイン保有数とビットコイン/米ドル

chino_whales2.png

(Kraken Intelligence)


クジラが持つビットコインの数は、2021年1月の高値である4万1989ドルをつけた1月8日に1150万BTCだったが、3万ドル付近まで急落した1月27日に過去最高となる1156万BTCまで増えた。

また、クジラは、最近の下落時にもビットコインをさらに蓄積した。3月13日、ビットコイン価格が過去最高値となる6万2000ドル付近に近づいた時、クジラが保有するビットコインは1166万1000BTCだった。それ以降、調整がある中でもクジラはさらに2万BTCを追加した。

一方、100BTC未満を保有するアドレスは、ビットコインが1月の高値である4万1989ドルをつけた時に利益確定売りを加速させたようだ。同アドレスが持つビットコインは、1月8日から1月27日の間に3万7200BTC減って、9カ月ぶりの低水準である530万BTCを記録した。

ビットコインの本源的な価値(Intrinsic Value)

以上、ビットコインが6万ドルまで到達するまでの経緯を振り返った。では、ビットコインの価格はどのように正当化されるのだろうか?

実は、ビットコイン否定派の多くは「ビットコインには本源的な価値がない」と批判する。例えば、最近では韓国の中央銀行である韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁がビットコインがなぜ高騰しているのか理解に苦しむと発言し、ビットコインに本源的な価値がないと述べた。彼らにとって、本源的な価値というのは株や債券など伝統的な資産の専売特許だというわけだ。

しかし、デジタル化が進む時代において、デジタル資産の代表格であるビットコインの価値をもう一度洗い出してみることは重要ではないだろうか? 私は、伝統的な金融資産の本源的な価値との対比の中で、ビットコインにも本源的な価値と考えられる特性が数多くあると考えている。

■希少性
ビットコインは、「デジタルゴールド」と呼ばれており、希少性が価値の源泉である金などのコモディティに近い資産と捉える声は多い。ビットコインの総供給量は2100万BTCとコードによって事前に決められている。執筆時点で1860万BTCが発行済みで2100万BTCに到達するのは2140年だ。現在は1日に約900BTCが発行されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和

ワールド

米政権、スペースXとの契約見直し トランプ・マスク

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中