最新記事

サイバー攻撃

中国人とみられるハッカー集団、米政府機関システムに侵入

2021年2月3日(水)11時36分

中国人とみられるハッカー集団が昨年、米ソーラーウインズ社のソフトの脆弱性を利用して、米政府機関のコンピューターに侵入していたことが関係筋の話で明らかになった。ソーラーウインズの本社、米テキサス州で昨年12月撮影(2021年 ロイター/Sergio Flores)

中国人とみられるハッカー集団が昨年、米ソーラーウインズ社のソフトの脆弱性を利用して、米政府機関のコンピューターに侵入していたことが、複数の関係筋の話で明らかになった。

農務省内にある「ナショナル・ファイナンス・センター(NFC)」などが被害を受けていたことが連邦捜査局(FBI)の捜査で分かったという。

NFCは連邦職員向けの給与業務を担当する機関で、大量の職員情報が不正にアクセスされた恐れがある。

米国では、連邦政府機関も含め、最大1万8000組織が、ソーラーウインズ社のソフトの脆弱性を利用したハッカー攻撃を受け、政府がロシアの関与を指摘しているが、今回のハッカー攻撃は同社のソフトの別の脆弱性を利用したものだという。

セキュリティーの専門家は、ロシアの関与が疑われているハッカー攻撃と同時に、別のハッカー集団もソーラーウインズ社のソフトの脆弱性を悪用していたと指摘していたが、中国の関与が疑われるハッカー集団が米政府機関を攻撃していたことが明らかになったのは初めて。

今回のハッカー攻撃の影響を受けた組織の数は不明。

関係筋によると、中国人とみられるハッカー集団は、中国政府とつながりのあるサイバースパイが用意していたハッカー用ツールを利用した。

農務省報道官は、ハッカー攻撃の影響を受けたすべての顧客に通知したと表明したが、その後、別の農務省報道官は、NFCはハッカー攻撃を受けておらず「ソーラーウインズに関する情報漏洩は起きていない」とコメントした。

中国外務省は、サイバー攻撃は「複雑な技術的問題」であり、攻撃を裏付ける証拠がなければならないとした上で「中国はどのような形であれ、サイバー攻撃やサイバー窃盗に断固として反対し、戦っていく」との声明を出した。

ソーラーウインズは、顧客の1組織が第2のハッカー集団の攻撃を受けたとした上で、攻撃元は特定されていないとコメント。同社の内部システムは攻撃を受けておらず、バグを修正するため、昨年12月にソフトをアップデートしたという。

FBIはコメントを控えている。

関係筋によると、ソーラーウインズのソフトを利用した2つのハッカー集団は、全く別の組織で互いに関係はないという。

元当局者によると、NFCは、FBI、国務省、国土安全保障省、財務省向けの給与業務を担当しており、連邦政府職員の社会保障番号、電話番号、電子メールアドレス、取引銀行などに関する情報を保有している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



ニューズウィーク日本版 ハーバードが学ぶ日本企業
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月30日号(9月24日発売)は「ハーバードが学ぶ日本企業」特集。トヨタ、楽天、総合商社、虎屋……名門経営大学院が日本企業を重視する理由

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペインも軍艦船派遣、ガザ支援船団へのドローン攻撃

ビジネス

午後3時のドルは149円後半、2カ月ぶり高値更新後

ワールド

スロベニア、イスラエル首相に入国禁止措置 ガザ問題

ワールド

台湾外交部長が今週NY訪問、国連総会中の訪問は初か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性を襲った突然の不調、抹茶に含まれる「危険な成分」とは?
  • 2
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 5
    クールジャパン戦略は破綻したのか
  • 6
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 7
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 8
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    富裕層のトランプ離れが加速──関税政策で支持率が最…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中