最新記事

中国

中国の途上国待遇を許すな、今こそ「契約」を仕切り直す時

REWRITE THE CONTRACT

2021年1月20日(水)16時45分
アルビンド・スブラマニアン(印アショカ大学教授)

Thomas Peter-REUTERS

<バイデン新政権にとって、外交面で緊急を要する課題は何と言っても「中国」。20年前の契約に反するこの異質な大国に対し、3つの要求をすべきだ>

(本誌「バイデンvs中国」特集より)

1月20日に晴れてアメリカ大統領となるジョー・バイデンは、真っ先にパリ協定への復帰とWHO(世界保健機関)への残留を表明し、WTO(世界貿易機関)の再生にも取り組むという。

喜ばしい決断だが、前任者ドナルド・トランプの残した負の遺産はあまりに甚大で、当面は内政で手いっぱいだろう。

しかしアジアの視点で言わせてもらえば(筆者はインド政府の元経済顧問)、外交面でも緊急を要する課題が3つある。1に中国、2に中国、3に中国だ。
20210126issue_cover200.jpg
今の中国は異質過ぎて全面的には手を組めず、大き過ぎて無視も封じ込めもできず、経済的な結び付きが強過ぎて今さら縁は切れない。それを前提として、さてアメリカはいかなる原則の下で中国との関わりを維持していけばいいか。

20年前、アメリカ(と国際社会)は、中国も豊かになれば経済的・政治的に開かれた国となり、国際秩序を乱したりはしないと考えた。2001年に中国のWTO加盟を認めたのも、そういう暗黙の了解ないし「契約」があればこそだった。

しかし中国は変わってしまった。予想以上に豊かで巨大な貿易国家になっただけでなく、習近平(シー・チンピン)が国家主席となってからは統制・独裁色を一段と強め、内向きで国家主導の資本主義の道を突き進んでいる。そして近隣の台湾やオーストラリア、インド、フィリピン、ベトナム、日本に脅威を与えている。

これは想定外だ。通貨政策や知的財産権など、20年前の契約を表面的に守っている部分はあるが、契約の精神には反している。こうなった以上、アメリカと国際社会は契約の仕切り直しを求める権利があるし、その権利を行使すべきだ。

そもそも、中国はもはや貧しい国ではない。それなのに今も途上国と見なされ、国際貿易の諸ルールで有利な扱いを受けている。途上国待遇は取り消さねばならない。

第2に、中国は(とりわけ2004年から2010年にかけて)経済競争力を維持するための人為的な為替操作を行ってきた。これは明らかに契約の精神に反する。国際社会は不当な為替操作を禁じるルールの明文化と、違反に対処する方法を確立すべきだ。

第3に、WTOに加盟した中国には国有企業を特別扱いしない責任がある。しかし現実には、政府が直接・間接的に果たす経済面での役割は大きくなる一方だ。これを是正するにはWTOのルールを改定・強化し、より公平な競争条件を確保する必要がある。

ニュース速報

ビジネス

FRB、最低23年末までゼロ金利維持を=ミネアポリ

ワールド

欧州の防衛自律性、NATOとの共存可能=仏大統領

ワールド

カナダ、不要不急の渡航禁止を7月21日まで延長

ワールド

米加州、ワクチン接種デジタル証明を開始 義務化はせ

MAGAZINE

特集:ルポ 武漢研究所のウソ

2021年6月22日号(6/15発売)

新型コロナウイルスの発生源と疑われる中国の研究機関は危険な感染実験を繰り返していた

人気ランキング

  • 1

    やっぱり危ない化粧品──米研究で半分以上に発がん性物質

  • 2

    徴用工訴訟、ソウル地裁の却下判決 韓国法曹会は正反対の判決に動揺広がる

  • 3

    中国の原発で放射線漏れの疑い チェルノブイリを彷彿とさせる透明性の欠如

  • 4

    「量子もつれ顕微鏡」が「見ることができない」構造…

  • 5

    コロナ研究所流出説を裏付けるコウモリ動画

  • 6

    K-POPアイドルも逃れられぬ兵役の義務、ファンを絶望…

  • 7

    【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けら…

  • 8

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」…

  • 9

    国民の不安も科学的な提言も無視...パンデミック五輪…

  • 10

    ファイザーのワクチンで激しい副反応を経験した看護…

  • 1

    4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目指し、どうなったのか

  • 2

    中国の原発で放射線漏れの疑い チェルノブイリを彷彿とさせる透明性の欠如

  • 3

    EVシフトの盲点とは? トヨタが「水素車」に固執するこれだけの訳

  • 4

    最愛の人の「生前の姿」をGoogleストリートビューで…

  • 5

    オーストラリア、一面クモの巣で覆われる

  • 6

    将来の理数系能力を左右する「幼児期に習得させたい…

  • 7

    やっぱり危ない化粧品──米研究で半分以上に発がん性…

  • 8

    病院がICUを放棄? 無人の部屋に死体のみ、訪ねた親…

  • 9

    ノーベル賞を受賞した科学者の私が、人生で後悔して…

  • 10

    徴用工訴訟、ソウル地裁の却下判決 韓国法曹会は正…

  • 1

    4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目指し、どうなったのか

  • 2

    脳が騙される! 白黒の映像が、目の錯覚でフルカラーに見える不思議な体験

  • 3

    国際交流で日本にきた中国人200人に「裏切り者」のレッテル

  • 4

    デーブ・スペクター「日本は不思議なことに、オウン…

  • 5

    閲覧ご注意:ネズミの波がオーストラリアの農地や町…

  • 6

    東京オリンピックの前向きな中止を考えよ

  • 7

    武漢研究所は長年、危険なコロナウイルスの機能獲得…

  • 8

    【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けら…

  • 9

    ファイザーのワクチンで激しい副反応を経験した看護…

  • 10

    EVシフトの盲点とは? トヨタが「水素車」に固執す…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月