最新記事

スウェーデン

コロナ「独自路線」のスウェーデン首都、ICU占有率99%

Sweden's Largest City, Has Only Seven ICU Beds Free Amid COVID Surge

2020年12月10日(木)17時10分
レベッカ・スピアコール

スウェーデンはパンデミック当初からほかの国々とは一線を画し、外出制限や学校・職場・国境の閉鎖を行わない独自の対策を取ってきた。厳しい制限措置の代わりに集団免疫の獲得を目指し、ソーシャル・ディスタンスの確保など、市民の自発的な対策に頼ってきた。

しかし6月後半までには、新型コロナウイルスによる死者数が近隣諸国を大幅に上回る事態となった。スウェーデンの死者数が5300人を超えていたのに対し、ノルウェーは約250人、デンマークは600人でフィンランドは325人だった(これらの国はスウェーデンに比べて人口が約2分の1ではあるが)。

その後もスウェーデンの感染者数は増え続け、10月には規制を強化したが、11月までには1日当たりの新たな感染者数が過去最多を更新する日が続くようになった。

それでもマスク着用は勧めない

政府は、11月20日からバーやレストランに対して夜10時以降のアルコール類の提供を禁止。さらに21県のうち5県で行動ガイドラインを強化し、パーティーの開催や参加をやめ、公共交通機関での移動を控えるよう求めた。12月3日には、スウェーデンのステファン・ロベーン首相が年内いっぱいは高校を閉鎖し、リモート学習に切り換えると発表した。

だが、集団免疫政策を主導してきたスウェーデンの公衆衛生庁は3日、今後も国民にマスクの着用を推奨することはしないと表明。これに先立ち世界保健機関(WHO)はマスク着用のガイドラインをますます強化し、感染が拡大している地域では、換気の悪い屋内では全ての人がマスクを着用すべきとしたのだが、公衆衛生庁によればマスクが感染防止に有効というエビデンスは少ないなどの理由で人々の自由に任せてきている。

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

25・26年度の成長率見通し下方修正、通商政策の不

ビジネス

午前のドルは143円半ばに上昇、日銀が金融政策の現

ワールド

米地裁、法廷侮辱罪でアップルの捜査要請 決済巡る命

ビジネス

三井物産、26年3月期は14%減益見込む 市場予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中