最新記事

中国企業

中国製コロナ検査キットまた欠陥 スウェーデンで約3700人に偽陽性

Sweden Finds Thousands of False Positives From Chinese Virus Test Kits

2020年8月27日(木)15時55分
マシュー・インペッリ

BGIのPCR検査キット BGI.com

<検体に含まれるウイルスの数が少ないと、陽性と陰性の区別ができず「偽陽性」になってしまう>

スウェーデンの公衆衛生局は8月25日、中国から輸入した新型コロナウイルス感染症の検査キットで、数千件の「偽陽性(感染していないのに陽性反応が示される)」が出たと発表した。

公衆衛生局の声明によれば、問題のPCR検査キットは、中国のゲノム解析大手、「華大基因」グループの傘下のBGIゲノミクスが製造したもの。2つの研究所で行われた通常の品質管理チェックの中で、偽陽性が出ることが判明した。検体に含まれるウイルスの数がきわめて少ない場合に、陽性(感染)と陰性(非感染)の区別ができなかったためだ。

同局によれば、スウェーデンでは3月から8月にかけて、自宅で検査を行った人々がこの検査キットを使用。約3700人に偽陽性の検査結果が出たという。

「2つの研究所で、国内10地域から集めた検体の分析を行った。その結果、首都ストックホルム、ヴェストラ・イェータランド県、イェブレボリ県、ヴェステルボッテン県、ヴェストマンランド県、ダーラナ県、ヴェステルノールランド県、セーデルマンランド県とブレーキンゲ県の9地域で誤った検査結果が出ていたことが分かった」と同局は声明で述べた。

偽陽性の結果が出た人の半数以上は、「検査時に軽い症状があったか、自覚症状が一切なかった」ということだ。

アメリカも3月に緊急使用を承認

公衆衛生局は声明でさらにこう述べた。「スウェーデン医療製品庁から、検査キットに欠陥があるとの報告を受けた。このキットは中国から、スウェーデンを含む多くの国に輸出されている。スウェーデン公衆衛生局は今回の一件について、ヨーロッパの各当局と世界保健機関(WHO)に情報提供を行った」

同局のカリン・テグマーク・ウィセル微生物学部長は、「欠陥が見つかり、検査結果の質を確保するために必要な措置が取られたことは、いいことだ」と語った。

8月26日の時点で、スウェーデンでこれまでに新型コロナウイルスに感染した人の数は合わせて8万7000人を上回り、これまでに少なくとも5817人が死亡している。

BGIゲノミクスが製造した問題の検査キットは、3月に米当局が新型コロナウイルスの検査用に緊急使用を承認し、5月にはWHOの緊急時使用リストにも掲載された。

またロイター通信によれば、BGIゲノミクスの子会社2社は最近、中国北西部の新彊ウイグル自治区での人権侵害を理由に、米商務省の制裁対象リストに掲載されている。BGIゲノミクスでは、制裁対象リストへの掲載を受けて声明を発表し、人権侵害の疑惑を否定。次のように述べた。「BGIグループは非倫理的な実践に携わっていないし、当社の遺伝子解析技術をウイグル人の監視のために提供もしていない。BGIグループは人権侵害を容認せず、人権侵害に関与することも決してない」

<参考記事>中国製コロナ検査キット使い物にならず、イギリス政府が返金を要求へ
<参考記事>【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスクとの向き合い方

【話題の記事】
巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開
台湾のビキニ・ハイカー、山で凍死
中国は「第三次大戦を準備している」

20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金、今年前半に5000ドル到達も 変動大きい年とH

ワールド

イスラエル軍、ガザのロケット発射地点を攻撃 停戦違

ビジネス

英企業、向こう1年の賃金上昇予想3.7% 若干緩和

ワールド

軍民両用品目の対日輸出規制強化、民生用途に影響せず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 9
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中