最新記事

ワクチン

英首相や米元大統領、安全性アピールのためテレビでコロナ・ワクチン接種か?

2020年12月9日(水)18時46分
松丸さとみ

新型コロナウイルスのワクチン接種を見守るジョンソン首相...... Frank Augstein/REUTERS

<イギリスで新型コロナウイルスのワクチン接種を開始した。安全性を示し接種を促す目的で、ライブ中継を行うテレビカメラを前に、ジョンソン首相自らが接種を受ける可能性が浮上している......>

英5人に1人は新型コロナ・ワクチンに懐疑的

英国政府は2日、米ファイザーと独ビオンテックが共同で開発した新型コロナウイルスのワクチンを承認したが、8日にも接種を開始した。ボリス・ジョンソン首相は2日の記者会見で、「英国史上最大の規模となる集団接種」と表現した。

英政府は、ファイザーおよびビオンテックのワクチンを米国に先駆け世界で初めて承認し、接種を開始した。ファイザーによるとワクチンの有効性は90%以上だ。このワクチンはマイナス70度で保存しなければならず、効果を発揮するには、3週間開けて2度の接種が必要となる。英国は現在のところ2000万人分、4000万本のワクチンを注文している。

しかしワクチンの安全性に不安を抱く国民は少なくなく、反ワクチン運動も展開されている。

調査会社ユーガブが3日、ファイザー/ビオンテック製のワクチンについて成人5351人を対象に行った調査では、「非常に安全だと思う」と答えた人は27%だった。「おそらく安全だと思う」と回答した人がもっとも多く、43%だった。とはいえ、「あまり安全とは思わない」(11%)と「まったく安全とは思わない」(9%)は合わせて20%となり、5人に1人はワクチンに懐疑的という結果になった。

ワクチン承認前の11月に英民放テレビ局ITVが行った同様の調査(成人2090人)では、接種が任意であった場合、受けないと回答した人は23%おり、まだ決めていないと答えた人は10%だった。受けないと回答したのは若い人たちが多く、18〜34歳では31%に上った。受けない理由としてもっとも多かったのが、「副作用があるかもしれないから」で44%。「製薬会社を信用していないから」と回答した人は31%だった。

首相が生中継でワクチン接種もあり?

こうした状況の中、いかにして国民にワクチン接種を受けてもらうかが課題となりそうだ。そこで、安全性を示し接種を促す目的で、ライブ中継を行うテレビカメラを前に、ジョンソン首相自らが接種を受ける可能性が浮上している。

ロイター通信によると、「首相はテレビの生中継でワクチン接種をするか」と記者から聞かれた首相報道官のアレグラ・ストラットン氏は2日、「本人に直接聞いたことはない」としながらも、「首相が拒否しそうな話ではないと思う」と答えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中