最新記事

感染症対策

ファイザー新型コロナワクチン、来週イギリスで接種開始へ 英政府が世界最速で承認

2020年12月3日(木)08時19分

12月2日、英政府は、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの使用を承認した。11月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic/Ilustration)

英政府は2日、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した。来週から接種が始まる見通しだ。ファイザーの新型コロナワクチンの承認は世界初で、米国や欧州連合(EU)に先駆けて接種が始まる。

ハンコック保健相は、来週初めからワクチン接種プログラムが始まる予定で、病院は受け入れ態勢を整えていると述べた。

英ワクチン委員会は、医療従事者、高齢者施設の入居者など優先接種の対象となるグループの中から、最初に接種するグループを決定する。


英国はファイザーと4000万回分のワクチン供給で契約を締結しているが、初回はベルギーのファイザー製造施設から80万回分のワクチンが供給される見通し。ジョンソン首相は、接種は当然、強制されないとしながらも、「接種を受けるよう、国民に強く推奨する」と述べた。

ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)は、オンライン会議で「来年末までには必要な量以上のワクチンが確保できるとかなり楽観している。当社として製造能力の向上に向け努力しているが、向こう数カ月間でどれだけ向上できるかが課題になる」と表明した。

また「ワクチンが将来的に最も有効な感染予防対策になることは間違いない」としながらも、各国政府には当面、その他の予防対策を怠らないでほしいと強調。「それほど遠くない将来、日常に戻る日がやってくるはずだが、今はその時ではない」と訴えた。

世界最速のスピード認可

ファイザーは主要国当局にワクチンの緊急使用許可を申請しているが、英医薬品当局は、世界に先駆けて緊急使用を認めた。

規制当局の英国医薬品庁(MHRA)は「ローリング・レビュー(逐次審査)」を実施し、治験データの入手と同時に審査を進めていた。

MHRAのレイン長官は「いかなる手続きも省いていない」と強調。6月に初のデータを受け取ってから厳密な審査を行ってきたとし、「安全がわれわれのモットーだ」と述べた。

ファイザーのワクチン部門責任者、ラルフ・レネ・レイナート氏は、他の国も英国に続くとしながらも、「これは国同士の競争ではない」と指摘。「ファイザーには全ての規制当局と、あらゆるデータを共有する用意がある」と述べた。

英国のスピード認可についてEUは、証拠に基づき時間をかけて審査するのが適切との考えを表明。ドイツのシュパーン保健相は、EU加盟各国は英国と同様の緊急使用許可を承認することはできるが、EUは全体として承認することを選んだとし、「承認に対する信頼の促進が重要だと考えている」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中