最新記事

感染症対策

コロナ変異種が英国で拡大、感染力最大7割増 ジョンソン首相「ロンドンなどイングランド南東部を再びロックダウン」

2020年12月21日(月)08時40分

英ジョンソン首相は感染力が最大で7割高いとみられる変異種の新型コロナウイルスが広がっているとして、首都ロンドンを含むイングランド南東部に事実上のロックダウン(都市封鎖)を再導入することを発表した。 写真は新たな規制の告知。12月19日、ロンドンで撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)

英ジョンソン首相は19日、感染力が従来のものより最大で7割高いとみられる変異種の新型コロナウイルスが広がっているとして、首都ロンドンを含むイングランド南東部に事実上のロックダウン(都市封鎖)を再導入することを発表した。

ジョンソン首相は、コロナ対策を政府に提言するクリス・ホウィッティ医師とともに会見し、変異種にもワクチンは有効と説明。致死率も重症化率ももともとのウイルスより高くないとする一方、対応を急ぐ必要性を強調した。

イングランドではここ2週間、変異種ウイルスにより感染者数が急増していた。

英政府はクリスマス前後の5日間に最大3世帯が室内に集まることを認めていたが、これを撤回。3段階に分けていた警戒レベルにさらに厳しい4番目のカテゴリーを新設し、ロンドンとイングランド南東部をここに引き上げた。

英国が最近まで全土に導入していたロックダウンと同等の警戒レベル。19日深夜から実施され、イングランドの人口の3分の1に当たる1640万人が対象となる。不要不急の外出は制限、必需品を売る商店以外は営業が認められない。屋外で会うのは1人に限定される。

ジョンソン首相はクリスマスに規制を緩める方針だったが、レベル4の地域では集まりが認められなくなった。対象地域以外のイングランド市民は、当日25日に限り友人や家族に会うことが許される。

ハンコック英保健相は20日、スカイニュースに対し、ワクチンが普及するまで厳格な封鎖措置を維持する可能性を示唆。

「問題解決までは長い道のりになる」と述べ、「基本的に人々の安全を確保するにはワクチンを普及させる必要がある。この変異種の感染スピードの速さを踏まえると、ワクチンが普及するまでは抑え込むのが非常に難しいとみられる」とした。

英国では今月、米ファイザーと独ビオテックが共同開発した新型コロナワクチンの接種が始まった。

20日に報告された国内のコロナ新規感染者は3万5928人と、1日当たりの過去最多を記録。死者は同日に326人増え、累計で6万7000人を突破した。

英国のイングランド以外の地域も厳格な措置を導入。スコットランドは他地域への移動を禁止し、クリスマスの特別な規制緩和は25日のみとした。

ウェールズは4段階で最も厳しい規制を敷く。ただ、クリスマス当日は2世帯が集まることを認める。

世界保健機関(WHO)は19日、変異種について英政府と緊密に連絡を取り合っているとツイッターに投稿。「英当局から引き続き分析結果や進行中の研究について情報を受けている。変異種ウイルスの特性や影響は、分かり次第(WHOの)加盟国や国民に伝える」とした。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロ産原油、割引幅1年ぶり水準 米制裁で印中の購入が

ビジネス

英アストラゼネカ、7─9月期の業績堅調 通期見通し

ワールド

トランプ関税、違憲判断なら一部原告に返還も=米通商

ビジネス

追加利下げに慎重、政府閉鎖で物価指標が欠如=米シカ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの前に現れた「強力すぎるライバル」にSNS爆笑
  • 4
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 7
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 10
    ファン熱狂も「マジで削除して」と娘は赤面...マライ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中