最新記事

暗殺

イランで核開発科学者が暗殺 ザリフ外相「イスラエル関与の重大な形跡」

2020年11月28日(土)13時05分

イラン国営メディアは首都テヘラン近郊で核科学者のモフセン・ファクリザデ氏が暗殺されたと報じた。自動車に乗っていたところ何者かに襲撃され負傷。搬送先の病院で死亡した。同氏はイランの核開発で中心的役割を担っていたとされる。写真は同日、テヘラン近郊の暗殺現場で(2020年 ロイター)

イランの国営メディアは27日、首都テヘラン近郊で核科学者のモフセン・ファクリザデ氏が暗殺されたと報じた。自動車に乗っていたところ何者かに襲撃され負傷。搬送先の病院で死亡した。同氏はイランの核開発で中心的役割を担っていたとされる。

最高指導者ハメネイ師は国営メディアで報復を宣言。ハメネイ師の軍事顧問を務めるデフガン氏はツイッターで「殺人者を急襲し、その所業を後悔させる」と述べた。

ザリフ外相はツイッターで、暗殺にイスラエルが関与したことを示す「重大な形跡」があるとした上で、国家ぐるみのテロ行為を非難するよう西側諸国に要求した。

メッセージアプリ「テレグラム」のイラン革命防衛隊系アカウントによると、国家安全保障最高評議会が軍司令官らを交え、緊急会合を開いたという。

こうした中、国連のグテレス事務総長は広報を通じて「ファクリザデ氏暗殺に関する報道に留意しており、地域の緊迫化につながるような行動を回避し、自制するよう求める」と表明した。

イスラエルや米ホワイトハウス、米国防総省、米国務省、米中央情報局(CIA)、バイデン氏政権移行チームは、いずれもコメントを控えた。

ファクリザデ氏は、イランが秘密裡に進めていた核兵器開発のトップと目されてきた。国際原子力機関(IAEA)は2015年の報告書で、同氏が「核開発の軍事的側面」を支援するための活動を監督していると指摘。ただ、イラン側は長らく核兵器開発を否定している。

オバマ前大統領のイラン担当顧問を務め、バイデン陣営にも非公式に協力しているロバート・マリー氏は、ファクリザデ氏の殺害について、トランプ政権の末期に起きた一連の動きの一つと指摘。「一つの目的は、イランの経済や核開発にできる限りのダメージを与えることで、もう一つの目的はバイデン氏にイランと外交関係や核合意を容易に再開させないための試みと言える」と分析。誰が暗殺に関与しているかについては明言を避けた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アメリカ大統領選挙、敗残のトランプを待ち構える訴訟の山 検察による刑事捜査も
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

半導体製造装置販売、AIブームで来年9%増 業界団

ワールド

アルミに供給不安、アフリカ製錬所が来年操業休止 欧

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

インド中銀総裁「低金利は長期間続く」=FT
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中