最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選挙、アリゾナもバイデンが勝利 共和党内に円滑な政権移行求める声

2020年11月13日(金)17時30分

エジソン・リサーチによると、米大統領選の激戦州アリゾナ州では民主党のバイデン氏(写真)が勝利するとみられ、選挙結果を覆そうと法的措置に出ているトランプ大統領にとってさらに厳しい展開となった。写真は10日、デラウェア州ウィルミントンで撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)



エジソン・リサーチによると、米大統領選の激戦州アリゾナ州では民主党のバイデン氏が勝利するとみられ、選挙結果を覆そうと法的措置に出ているトランプ大統領にとってさらに厳しい展開となった。

バイデン氏はアリゾナでの勝利により、選挙人290人を獲得し、当選に必要な過半数(270人)を上回る。得票数でも520万票(得票率で3.4%ポイント)、トランプ氏を上回っている。

一部の州で集計が続く中、トランプ氏はますます不利な状況に追い込まれている。

共和議員の間ではトランプ氏に対して、バイデン氏への政権移行に協力し、機密情報に関するブリーフィングをバイデン氏が受けられるようにすべきだとの声が高まっている。

トランプ氏は選挙に不正があったとして法廷闘争を繰り広げており、依然敗北を認めていない。一方、バイデン氏は政権移行の準備を着々と進めており、12日にはローマ教皇フランシスコと電話会談した。

大統領就任が内定した候補には、就任前に国家安全保障上の脅威を把握するために機密情報に関するブリーフィングが提供されるのが通例となっている。ただ、こうした引き継ぎは円滑に進んでいない。

ジョン・コーニン上院議員やリンゼー・グラム上院議員を始め多くの共和党議員は、トランプ政権はバイデン氏に機密情報に接する権限を与えるべきだと主張している。

米政府の元高官は、機密情報に関するブリーフィングをバイデン氏が受けることは政権運営の維持で重要だと訴えた。この中には、トランプ政権の元高官も含まれている。

民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は、トランプ氏が政権移行に協力していないことを強く批判。また、新型コロナ景気対策の法案通過に協力するよう共和党に要請した。

政権移行チームによると、バイデン氏は12日のローマ教皇フランシスコとの電話会談で、貧しい人への対応や気候変動対策、移民や難民の社会への受け入れで協力したいとの意向を伝えた。

バイデン氏が大統領に就任すれば、ジョン・F・ケネディ氏以来、史上2人目のカトリック教徒の米大統領となる。

バイデン氏は、11日には副大統領時代に自身の首席補佐官だったロン・クレイン氏を大統領首席補佐官に指名するなど、政権移行を進めている。就任前に主要閣僚の選出を行うと予想されている。[nL4N2HY0HP]

法廷闘争の継続に批判も

共和党内からは、トランプ氏が法廷闘争を続けていることを疑問視する声があがっている。

オハイオ州のマイク・デウィン知事(共和党)は12日、CNNに対して「われわれはバイデン前副大統領を次期大統領と考える必要がある」と語った。

共和党の大口献金者として知られるシェルドン・アデルソン氏が保有するラスベガス・レビュージャーナル紙は論説で「選挙での不正がトランプ氏に影響を及ぼしたとの証拠はない。大統領がどれだけツイッターで反論し、支持者がそう願ったとしてもだ」と指摘した。

共和党のジョージ・W・ブッシュ政権で次席補佐官を務めたカール・ローブ氏はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙への寄稿で、「法廷闘争の日々が終了した時点で大統領は平和的な政権移行を主導し、怒りを捨て、米国を団結させるために大統領としての役目を果たすべきだ」と主張した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



グラフィック アメリカ大統領選挙開票状況


 

【話題の記事】
・人民日報、「大差で勝った」と言い張るトランプを笑う
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米CDC、ワクチンと自閉症の記述変更 「関連性否定

ワールド

「きょうの昼食はおすしとみそ汁」、台湾総統が日本へ

ワールド

中国、日本が「間違った」道を進み続けるなら必要な措

ワールド

ジェトロ、中国で商談会など20件超中止 日本との関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 10
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中