最新記事

タイ

タイ環境相、国立公園に捨てられたゴミを「持ち主に送り返す」対策で対抗

2020年9月28日(月)16時00分
松丸さとみ

「あなたのごみを一つ残らず拾い上げて、お土産として箱に詰め、ご自宅までお送りします」 TOP Varawut-Facebook

<タイの環境相が、「ごみを持ち主に送り返す」という斬新なアイデアで、観光地のゴミ問題の解決に取り組んだ...... >

「お忘れ物です」、ごみを持ち主に返送

新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受けて、人混みを避けて屋外の観光地を訪れたりアウトドアを楽しんだりする人が世界的に増えている。そうした場所では、ごみの問題に頭を抱えているケースも少なくないようだ。そんななか、タイの環境相が取ったごみ対策が話題になっている。

ユネスコの世界遺産にも登録されているカオヤイ国立公園で、観光客がごみを捨てていくのに辟易していたワラウット・シラパアーチャー天然資源・環境相が、「ごみを持ち主に送り返す」という斬新なアイデアで、この問題の解決に取り組んだのだ。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、シラパアーチャー天然資源・環境相は9月中旬、フェイスブックにこんな投稿をした。「あなたのごみを一つ残らず拾い上げて、お土産として箱に詰め、ご自宅までお送りします」。

配送用の箱の中には、公園内で集められたペットボトルやお菓子の袋などのごみが入れられている。そこには手紙が添えられており、「カオヤイ国立公園に私物をいくつかお忘れになったようです」「ご返送いたします」と書かれているという。

matumaru0928b.jpgTOP Varawut-Facebook

野生動物を危険にさらすごみ問題

カオヤイ国立公園は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、一時閉鎖されていた。しかし7月1日から観光客の受け入れを再開。「新しい常識」として、利用の際は事前の登録を求め、受け入れ人数は閉鎖前の3分の1に減らしているという(バンコクポスト)。

今回送り返されたごみは、公園内に捨てられていたテントに残されたものだったのだが、テントの持ち主が誰であり、ごみをどこへ返送するかを割り出すのは、探偵並みの地道な捜査が必要だったとNYTは報じている。

またNYTによると、タイでは公園でごみを投棄した場合、最長で禁錮5年と罰金1万6000ドル(約170万円)が科されることになる。今回ごみを送り返されたキャンパーらは、警察のブラックリストに登録され、今後はカオヤイ国立公園を泊りがけで利用することができなくなるという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米百貨店コールズ、通期利益見通し引き上げ 株価は一

ワールド

ウクライナ首席補佐官、リヤド訪問 和平道筋でサウジ

ワールド

トランプ政権、学生や報道関係者のビザ有効期間を厳格

ワールド

イスラエル軍、ガザ南部に2支援拠点追加 制圧後の住
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 7
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 10
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中