最新記事

感染第2波

インドネシア、コロナ死者1万人突破 政府は打つ手なく迷走し医療崩壊の危機

2020年9月24日(木)21時25分
大塚智彦(PanAsiaNews)

規制強化で摘発、違反相次ぐ事態に

9月14日のPSBB規制強化以降、州政府は規制の違反者、違反企業への取り締まり、罰則も強化し、その摘発に力を入れている。その結果、従業員の感染が確認されたり、保健衛生ルール違反などでジャカルタ州政府から操業一時停止、一時閉鎖といった処分を受けた事業所、工場は57社に上る。そうしたなか、感染者352人を出したジャカルタ郊外の工業団地にあるエプソンのプリンター工場は自主的に工場閉鎖を決めた。

さらに「マスク非着用」などの違反行為で摘発したのは約5万6000人で、うち約2000人から罰金として3億1350万ルピア(約222万円)を徴収。2万6000人は罰金支払いの代わりとしての社会奉仕に従事し、残りは口頭や書面での注意を受けたとしている。

さらに店内飲食禁止のルール無視による闇営業や従業員のマスク非着用などを理由に約100店の飲食店が一時閉鎖処分を言い渡されている。

東ジャワ州の州都スラバヤではマスク非着用を検問で咎められた警察官が同じ警察官とケンカになる事例や、自家用車を1人で運転している市民がマスク非着用を警察官などから注意され「密閉区間に1人でいる車内でのマスク着用の意味があるのか」と食って掛かるといったトラブルも増えているという。

また、スカルノハッタ国際空港で抗体検査を担当していた大手製薬会社子会社の社員からセクハラを受けた女性乗客が告発、空港警察が容疑者や目撃者の捜査に着手したという。

このように14日以降のPSBB規制強化とともにルール違反やクラスターや不祥事が続発しており、感染対策が強化され一方で「ルール無視、軽視」も増加しており、市民の「遵法精神」の欠如が感染拡大に輪をかけているとの指摘も出ている。

大統領はワクチンに期待示すのみ

こうしたなか、ジョコ・ウィドド大統領は23日に国連総会にビデオ出演して「コロナ禍での国際社会の医療面、経済面での協力強化」を呼びかけるとともに「すべての国が安全で手が届くワクチンにアクセスできることの重要性」を訴えて国際社会で進むコロナ・ワクチンの早期開発、早期提供への期待を示した。

インドネシアはワクチンの「独自開発」を進める一方で中国大手製薬会社との共同研究によるワクチン開発を進めている。その一方で各国にワクチンの提供を広く呼びかけてもいる。

なんといっても約2億7000万人という世界第4位の人口を抱える大国だけに、十分なワクチン確保には中国だけでなく国際社会の相当な協力が不可欠という状況があるからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スペースX、6月のIPO検討と英紙報道 評価額1.

ワールド

ECB、ユーロ一段高で再利下げ検討の可能性=オース

ビジネス

豪産ワイン輸出、25年は8%減 中国向け大幅マイナ

ビジネス

野村証券、個人向け営業社員に信用情報の提出要請 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化はなぜ不可逆なのか
  • 4
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    「恐ろしい...」キリバスの孤島で「体が制御不能」に…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    生活保護と医療保険、外国人「乱用」の真実
  • 10
    「発生確率100%のパンデミック」専門家が「がん」を…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 8
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中