最新記事

教育

「素手でトイレ掃除」を美談にする日本の不思議さ ドイツ出身の私が驚いた「異常すぎる校則」

2020年7月22日(水)12時48分
サンドラ・ヘフェリン(コラムニスト) *東洋経済オンラインからの転載

日本の教育現場では当たり前のことも、世界の視点からすると異常なことが多い


ドイツで教育を受けた筆者が日本の中学校の校則を知って衝撃を受けた理由とは? 日独ハーフコラムニストのサンドラ・へフェリン氏の新刊『体育会系 日本を蝕む病』から一部抜粋・再構成してお届けする。

前回記事は、小学校で気をつけたい体育会系的な懸念事案としてピラミッドや組体操を例に書いてきましたが、生徒を校則などで縛りつけ服従させるという点においては小学校よりも中学校のほうが深刻です。

中学校でやらされることの多くは軍隊的なイメージを伴っています。思春期になり自我が芽生え始めている子たちを、「上からむりやり管理してしまえ」という意図が透けて見えます。

本来ならば、難しい年頃の子には、むしろ今までよりも多めに自由を与え、自分なりの判断ができるように大人たちが応援すべきところなのですが、そうではなく「小さい大人たち」をとにかく縛りつけてしまうのがニッポンの中学校です。

筆者が恐れおののいた「厳しすぎる校則」

中学生の頃、私はドイツに住んでいて現地の学校に通っていましたが、毎週土曜日に通っていた日本人学校の友達の家で見た『ぼくらの七日間戦争』(1988年、菅原比呂志監督)という映画は衝撃的でした。

毎朝スカートの丈やら前髪の長さなどを先生にチェックされるバリバリの管理教育の中学校生活が映し出され、その後生徒たちが学校と闘うというストーリーですが、初めて見たときは、これはあくまでも映画の中のことであり、まさかニッポンの中学校の現実だとは思ってもみませんでした。

しかしその後、日本から送られてきた中学生向けの雑誌で校則に関するすさまじい体験談を読み、ドイツにいながら「ニッポンの学校」というものに恐れおののきました。載っていた記事は「強制的に髪の毛を先生に切られた」とか、「女子のスカートの長さが決まっている」だとか、ドイツの生徒たちからしたら信じられない内容のものばかりでした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中