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北朝鮮、軍事境界線付近に宣伝用拡声器を再設置 韓国の脱北者団体はビラ散布

2020年6月23日(火)16時44分

韓国軍の関係者が23日明らかにしたところによると、北朝鮮が軍事境界線付近で宣伝放送用の拡声器の再設置を進めている。演習に参加する韓国軍兵士。23日韓国坡州で撮影(2020年 ロイター/Kim Hong-Ji)

韓国軍の関係者が23日明らかにしたところによると、北朝鮮が軍事境界線付近で宣伝放送用の拡声器の再設置を進めている。韓国軍も同様の措置を講じることを検討中という。

宣伝放送用の拡声器は2018年の南北合意を受けて撤去されていた。

韓国軍の関係者は「われわれも拡声器の再設置を検討している」とした上で「ただ、北朝鮮はまだ放送を再開していない。いつでも対抗できるよう準備を進めている」と述べた。

韓国国防省の報道官は定例会見で、北朝鮮による拡声器の再設置について確認しなかった。北朝鮮が和平に向けた共同の取り組みに逆らい続けるなら「その代償を払わなければならない」との立場を改めて表明した。

北朝鮮は先週、開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破したが、22日時点の衛星写真によると建物は激しく損傷しているが完全には破壊されていない。

米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」のアナリストは先週、爆破について「制御されたものでないのは明らかだ。(連絡事務所の)建物は完全には崩壊しておらず、付近の建物に重大な被害が及んでいる」と指摘している。

北朝鮮は、韓国の脱北者が宣伝用のビラを北朝鮮に向けて散布していることを強く非難。両国関係は悪化している。

2000年に北朝鮮を脱出した朴相学(パクサンハク)氏が代表を務める韓国の脱北者団体は23日、ビラ50万枚、小冊子500冊、1米ドル紙幣2000枚を20個の風船で散布したことを明らかにした。

韓国政府は、こうしたビラ散布を中止させるため法的措置を講じる方針を示しているが、表現の自由に反するとの意見も出ており、議論は続いている。

韓国統一省は声明を発表し朴氏のビラ散布には厳しく対応する意向を示した。

[ロイター]


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