最新記事

エンターテインメント

キスは1日1度だけ、ラブシーンはCGで? 「ウイズコロナ」の映画やドラマはこう変わる

2020年6月12日(金)20時23分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

日本以外の国では、撮影再開に当たりどのような撮影方式がとられているのだろうか? ここ最近、世界から注目を浴びている韓国映画界。日本との大きな違いは、全ての撮影や作業がストップされなかったという点だった。各自気を付けながら、一部の現場をのぞいては作業が続けられた。

一方で、韓国映画振興委員会(KOFIC)の動きは早く、映画館等への金銭的サポートはもちろん、先月からはコロナの影響で金銭的負担を強いられた映画に対して計20億ウォンを分配するとの発表もされている。

感染拡大する韓国で撮影していた日本の映画人

newsweek_20200612_201208.jpg

日韓の映画制作の現場で活動している藤本信介氏(本人提供写真)

今回は日頃から日韓の映画界で助監督として働く藤本信介氏に話を聞いた。藤本氏は2月22日から日韓の往来が難しくなった3月25日まで、新型コロナの感染が拡大するなか日韓合作作品の撮影現場にいたという。

── 撮影現場でも感染対策の基本は換気、手洗、距離を取ることだと思うが、他に特徴的な項目は?
基本のみという印象です。そもそも韓国はコロナで全ストップしていなかった。撮影現場では、思っていたほどにはちゃんとやってない印象だった。撮影中はそれどころじゃなく毎日忙しいから気にしていられないという側面もある。ただ、国からのサポートがあり、KOFICからは消毒費用などの負担が行われている。

── 日韓のガイドラインの違いがあれば
日本のガイドラインの方が、韓国に比べてよりディテールまで示されている印象。それはきっと各放送局や制作部署が独自で決めたところが大きい。現場で活躍する人たちの声を取り入れている具体性が感じられる。きっと、日本は全部署が一旦ストップし、再開に向けてスタッフやキャストを安心させるためにも、より詳細に示す必要があったのかもしれない。韓国は全ストップをしなかったために、様子を見ながら各現場で柔軟に対応した印象があります。

── 今後ポストコロナで日韓の映画交流、合作はどうなるだろうか?
今後いつ渡航出来るか分からない状況のなか、日韓合作の企画自体が全て休止や中止されている状態だろう。渡航問題が解消されても、世間の目もあるため当分は難しいと思われる。

── 映画人向けの休業補償などは韓国に存在するのか?
韓国にもあることはあるが、審査が日本よりも難しい印象です。知り合いの韓国人スタッフにも話を聞いたが保証制度があること自体知らない人もいた。撮影が全ストップしなかったこともあると思う。

── コロナのパンデミックを経験して思ったことは?
映画を通した人と人との交流の機会がなくなることが悲しい。1日も早く日韓でのプロジェクトや、キャスト・スタッフが海を越えて一緒に手を取り合って撮影できる日が来ることを願っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

11月百貨店売上は0.9%増で4カ月連続プラス、イ

ビジネス

物価目標「着実に近づいている」と日銀総裁、賃上げ継

ビジネス

午後3時のドルは155円後半で薄商い、日銀総裁講演

ワールド

タイ11月輸出、前年比7.1%増 予想下回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中