最新記事

スポーツ

韓国プロ野球、コロナ禍で開幕遅れるMLBに代わりアメリカで人気

2020年6月7日(日)17時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

アジアンスタイルが新鮮?

他にも、アメリカにはない独特な「アジア式野球」もアメリカ人から興味をもたれているという。

例えば、ピッチャーに代わり打撃専門の選手がバッターボックスに立つ「指名打者制度」だ。アメリカの大手ニューステレビ局CNBCが韓国野球人気を特集した際には「韓国野球とメジャーリーグ野球の大きな違いの一つは、韓国野球では指名打者を許可している点だ」とし、「最近、MLBナショナルリーグでも投手の肩を守るため、また選手の活躍の場を増やすためにも採用すべきとの声が高まっている」と報じた。

アメリカンリーグでは、1973年以降採用されている「指名打者制度」だが、ナショナルリーグでは未採用。昨年には米大リーグ機構と選手会が制度導入を検討しているという報道もされ、実際この5月に発表された今シーズンの開幕案ではナショナルリーグでも導入することが打ち出されている。この動きにEPSNによる韓国野球の中継がどれだけ影響したのかは分からないが、新型コロナへの対応などで韓国野球について参考にしていたというので、「指名打者制度」を後押ししたかもしれない。

派手なパフォーマンス好きなところが共通

さらに、「バットフリップ」、日本で言うところの「バット投げ」のパフォーマンスもアメリカの野球ファンを魅了している要素の一つだろう。バッターがボールを打った後、走り出す際にバットを振り上げるバットフリップは、アメリカでもたまに見られるが、投手など相手選手を刺激してしまうなどの配慮からタブー視されている。よっぽどの劇的サヨナラホームランのときなど例外はあるにせよ、ホーム球場以外では見ることは少ない。

しかし、韓国の選手は、ホームラン以外にヒットでさえもバットフリップを行うことがあり、派手なパフォーマンスが好きなアメリカの野球ファンたちを虜にしている。その人気は、ESPNの公式サイトに「Korean Bat Flip」という特集コーナーが登場したほどだ。

アメリカでの韓国野球人気の秘密は他にもある。それは、ファンの応援スタイルにも見られる。

韓国には、日本のようなマスコットキャラクターの他に、応援歌に合わせて踊るチアリーダーが存在する。興味深いのは、フィールドの選手に向かってだけでなく観客の士気を挙げるため、観客席側を向いてダンスをする点だ。慶尚南道をホームにもつチーム「NCダイノス」の外国人選手アーロン・アルテールは「まるでコンサートを見ているようだ」とインタビューに答えている。さらに、これは日本でも見られる応援だが、各チームの歌だけでなく、各選手に合わせて歌が存在し、ファンが一緒に声を合わせて歌い応援する姿も外国から見れば新鮮なのだそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米下院補選で共和との差縮小、中間選挙へ勢いづく民主

ビジネス

中立金利は推計に幅、政策金利の到達点に「若干の不確

ビジネス

米ロッキード、アラバマ州に極超音速兵器施設を新設

ワールド

中国経済は苦戦、「領土拡大」より国民生活に注力すべ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中