最新記事

芸能

NEWS手越祐也「活動自粛」に見るジャニーズ事務所の危機管理能力

2020年5月28日(木)17時00分
木村 隆志(コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者) *東洋経済オンラインからの転載

しかし、それ以上に気がかりだったのは、事務所関係者と番組スタッフが、それをよしとしていたこと。「それが手越のキャラクターだから。面白いでしょ」と思っていたのか、単に正さないだけなのかは分かりませんが、すでに何度かスキャンダルが報じられた後だっただけに不可解でした。

手越さんの共演者から「誕生日に近い収録のときにお花とプレゼントをもらったんですよ。チャラいけどサプライズで王子様みたいでした」というエピソードを直接聞いたことがあります。もしかしたら手越さん自身、自由な言動のどこまでがキャラクターで、どこまでが自分自身なのか、世間のイメージとプライベートの自分を混同していたのかもしれませんし、事務所や番組も正すタイミングを逸してしまったのかもしれません。

また、「スキャンダルを起こしても、ほとんどおとがめなし」という状態が繰り返されたことで、手越さんがアイドルであるにも関わらず"チャラ男キャラ"を自らネタにしはじめたことも、今回の件に至った理由の1つでしょう。アイドルとしてのタガが外れ、公私どちらもチャラ男として過ごすことで、「何か問題を起こしたとしても『キャラクターだから』と許してもらえる」という甘えにつながったとしても不思議ではありません。

個人の意思は強くなく環境次第で変わる

手越さんがすでに32歳の大人だとしても、個人の意思はそんなに強くないですし、年齢を問わず環境次第で良くも悪くも変わってしまうのが人間の怖いところ。それだけに事務所も番組も、手越さんに1つのキャラクターや役割を担わせることへの責任があるのです。

これは一般企業も同じで、ある社員を「こういうキャラクターだから」と決めつけたり、「この仕事、得意だったよね」と役割を固定したりすると、そのキャラクターや役割が悪い方向へ進ませてしまうことがあるので気をつけてください。

ここまでジャニーズ事務所は、芸能界のどこよりも積極的に新型コロナウイルスの感染拡大防止を支援してきました。「Smile Up!Project」と銘打って、医療用マスクや防護服を調達したり、手洗い動画や無観客ライブを配信したり、その活動はアンチですら文句のつけようがないほどのものがあります。さらに、総勢76名の所属タレントによる期間限定ユニット・Twenty★Twentyを結成してチャリティー活動を行うことを発表し、手越さんも参加予定でした。

企業単位で見れば、最高の好感度だったものが、手越さん1人の存在によって大きく下げられ、Twenty★Twentyは活動開始前から、ネガティブな意味で名前が知れ渡ってしまったのです。参加メンバーも事務所スタッフも悔しい思いをしているでしょうし、その思いは今回が初めてではなく、「手越!またか」と思っている人も少なくないでしょう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

バーゼル銀行監督委、銀行の気候変動リスク開示義務付

ワールド

訂正-韓国大統領、日米首脳らと会談へ G7サミット

ワールド

トランプ氏、不法滞在者の送還拡大に言及 「全リソー

ビジネス

焦点:日鉄、巨額投資早期に回収か トランプ米政権の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中