最新記事

アメリカ社会

米ミシガン州で「ウイルスより経済が心配」と命知らずの抗議デモ

Michigan Governor Says Protest Against Stay-at-Home Order Was 'Political'

2020年4月17日(金)15時25分
カレダ・ラーマン

外出禁止令延長に反発し、ミシガン州ランシングの州議事堂に向かって車で列を作る抗議デモ(4月15日) Seth Herald-REUTERS

<外出禁止令の延長に反発した抗議デモを州知事は「人々の命を危険にさらす行為」と批判した>

米ミシガン州では4月15日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために外出禁止令の延長に反発した大勢の人が議会を車で取り囲む抗議デモがあった。グレッチェン・ウィットマー知事は、デモは人命を危険にさらすものだったと非難した。

「お先真っ暗作戦」と名づけられたこの抗議デモは、同州の2つの保守系団体が実施。フェイスブックで参加の呼びかけを行った。これを受けて大勢のデモ参加者が州都ランシングにある州議会の周辺に車で集結。「ウイルスより経済が心配だ」「仕事を返せ」「ロックダウン(都市封鎖)を終わらせろ」などと書いたプラカードを掲げて抗議した。

ミシガン州警察の広報担当は、デモ参加者は推定4000人でおおむね「平和的」なものだったと語った。デモ参加者の大半が自分の車の中にとどまり、路上でデモを行った人々は、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を実践していたという。このデモに参加したことで、外出禁止命令を破ったとして違反切符を切られた人はいなかったが、45歳の男性がほかのデモ参加者に暴力を振るって身柄を拘束されたということだ。

ウイルスの思う壺

ウィットマー(民主党)はMSNBCの番組に出演した中で抗議デモの問題に触れ、デモ参加者たちは州民の命を危険にさらしたと非難。彼らの多くがマスクを着けておらず、中には素手で子どもたちにキャンディを配っていた人もいたと語った。

さらに番組ホストのジョイ・リードが、デモ参加者の一部がドナルド・トランプ大統領や(南北戦争時の)南部連合の旗を振っていたと指摘すると、ウィットマーは、抗議デモは「本質的には政治集会だった」と主張した。

「彼らの目的は、外出禁止命令に抗議することではない。あれは政治集会で、あらゆる科学や外出自粛の必要性を無視するものだった」と彼女は語った。「あれは人々の命を危険にさらす行為だ。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、まさにああやって広まっていくからだ」

「こういう行動をする人がいるからこそ、外出禁止命令が必要なのだ。これはまさに、今起こり得る最悪の事態だった」と主張。ただしミシガン州民の「大半」は外出禁止命令に従っているとも述べ、外出禁止によって人々が困難な生活を強いられているのは理解できるが、健康を危険にさらすことはその解決策にはならないと語った。

<参考記事>トランプ「新型コロナウイルス、武漢の研究所から流出したものか調査中」
<参考記事>新型コロナウイルス、男性の死亡リスクが高い理由

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中