最新記事

中国

ウイルス発生源、欧米学者が突然変異説:武漢発生源という証拠なし?

2020年4月16日(木)11時10分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

4.ピーター論文に特記してあるわけではないのだが、興味のある方は前掲のGISAIのページの右下にあるReset Zoomの文字が見える辺りの「↓」を押し続けて下の方にスクロールしてみて頂きたい。すると世界地図が出て来る。

世界地図が出てきたら、左上にある['''play''']をクリックしてみて頂きたい。

一瞬の静寂の後、中国のど真ん中にある武漢(Wuhan)を中心に紫色のものが浮かび上がり始める。ここでの色分けは「国」を表しているので、「中国武漢から派生した」ことが明確に見て取れる。B型ウイルスの「肺炎」の系列だ。

赤色はアメリカを中心に感染爆発を起こしている肺炎患者の流れで、東海岸はヨーロッパから来たC型系列、西海岸は中国から来たA型系列の傾向にある。A型は武漢で感染拡大が起きていた時にはあまり見られないものの、もともとは武漢で発症したアメリカ人がアメリカに運んできたものだから、ウイルス伝搬の方向性(ベクトル)はA型といえども武漢からアメリカに向かっている。

アメリカでは東海岸のニューヨークが最も激しいので、これはヨーロッパ(緑色系列の国々)から流れ込んできたC型ウイルスの「肺炎」系列が多いことになる。

C型もこのマップを見れば明らかなように、武漢からヨーロッパ目がけて突然変異しながら感染を拡大させていったことが分かる。

きれいに三種類に分けられるわけではないが、オーストラリアやアフリカなどには別の亜種があったり、またA型が逆流したりしている。

4月13日のコラム「中国、コロナ感染第二波を警戒」に書いた通り、ロシアから今頃になってコロナ患者が中国に逆流しているのは、ロシアは早くから中国との国境を完全封鎖して難を逃れてきたのだが、中国がピークを過ぎたために封鎖の緊張が緩んだせいだろう。

マップにある通り、ロシアでは中国からの直接のウイルス移動はなく、むしろ日本やヨーロッパあるいはアメリカからの流入が見られる。

狂喜する中国政府

これまでトランプ大統領が「チャイナ・ウイルス」と言ったり、中国外交部の報道官が「ウイルスはアメリカ軍が中国に運んできたものだ」などと反撃したり、「ウイルス起源」に関する激しい米中「口撃」戦が展開されてきた。特に中国の伝染病や免疫学の最高権威である鍾南山院士が記者会見での回答で「たしかに新型コロナウイルス肺炎の最初の伝染拡大は武漢で起こったので肺炎(COVID-2019)は武漢が発祥地だと言うことができるが、しかしウイルス(SARS-Cov-2)の発生源がどこであるかに関しては学術的探求が必要となる」と言ったことから、「中国は自分がコロナ肺炎を世界に拡散させたことを否定した」という非難を西側諸国から受けていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱自社長、ネクスペリア問題の影響「11月半ば過ぎ

ワールド

EUが排出量削減目標で合意、COP30で提示 クレ

ビジネス

三村財務官、AI主導の株高に懸念表明

ビジネス

仏サービスPMI、10月は48.0 14カ月連続の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中