最新記事

中国

緊急事態宣言と医療崩壊の日中比較:日本を救う道はまだあるのか?

2020年4月6日(月)14時14分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

躊躇し続ける安倍首相 Issei Kato-REUTERS

日本はようやく緊急事態宣言を選ぶ方針に入るという。中国では武漢封鎖後は瞬発的に外出禁止や方艙医院建築などで対応しコロナ拡散から脱出したが、安倍首相の場合は過剰なベッド数の削減さえ昨年指示したままではないのか。

緊急事態宣言の日中比較

東京都は3桁台の新規感染者増に突入し、日本全国でも新規感染者が激増していく中、安倍首相は「まだその状況にはない」を繰り返して、緊急事態宣言を出そうとしなかった。4月6日になって、ようやく緊急事態宣言を出す方針を固めるという、後手の連続である。

「国民の命が何より大事だから」と言っているが、それならなぜすぐに緊急事態宣言を出さなかったのか。

では、いち早くコロナ感染大拡大から脱出した中国の場合は、緊急事態宣言に関して、どのように動いたのかを見てみよう。

1月31日付けのコラム<習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす>に書いたように、まさに全人類にコロナ災禍をもたらしているのは習近平(国家主席)だ。しかし3月18日付けコラム<中国はなぜコロナ大拡散から抜け出せたのか?>に書いたように、中国最高権威の免疫学者である鍾南山氏の警告(1月19日)によって、その後の中国は瞬発的な動きを見せている。

中国では緊急事態宣言を出すには、中華人民共和国憲法にある通りの手順を踏まなければならない。憲法では、たとえば「第六十七条の第二十項、第八十条、第八十九条の第十六項」などにある通り、緊急事態宣言を発令する場合は「全人代(全国人民代表大会)と全人代常務委員会における決定に基づいて中華人民共和国国家主席が発令する」と決められている。戦争を起こすか否か等がその中に含まれる。

コロナが爆発的に感染拡大をしようとしている時に、「人が集まる」というようなことを出来るはずがない。

また、あまりに切羽詰まった「緊急性」を持っていたため、臨機応変に「突発的公共衛生事件第一級(最高レベル)緊急対応機能(メカニズム)」というのを発布して、各省・直轄市・自治区に緊急対応をさせた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中