最新記事

感染症対策

東京五輪延期に伴う追加費用は約320億円 各国際競技連盟の負担分はIOCが支援

2020年4月16日(木)19時25分

国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会が記者会見を行い、IOC東京大会調整委員会のジョン・コーツ委員長は、五輪延期のコストが非常に大きくなるという問題に直面していると述べた。写真は都内で3月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会が16日夕、記者会見を行い、IOC東京大会調整委員会のジョン・コーツ委員長は、五輪延期のコストが非常に大きくなるという問題に直面していると述べた。特に国際競技連盟(IF)に絡む追加的コスト、その他関係者に関するコストがあるとし、これから査定をし、その追加コストはIOCが負担すると述べた。

バッハIOC会長が13日に延期にかかるコスト総額について、およそ3億ドルとの認識を示したが、コーツ委員長は、多くのIFなどが大変厳しい財務状況に陥っていることを示したものだと指摘。大会延期に加えてパンデミックがこうした組織を襲っていることに起因していると説明した。こうした組織の存続の危機に支援を差し伸べる必要があるとした。

またコスト削減が質の低下につながらないよう努力するとし、アスリートの不安に配慮するとした。

IOCとしては、東京五輪の会場については、変更せずに同じ施設を使用することが最も望ましいとの方針を明らかにした。これに関し、武藤組織委員会事務局長は、使用施設に関連して具体的に来年の使用は不可能との話は出てきていないと説明した。

コーツ委員長は、延期による日本へのマイナスの影響は大きいものがあるだろうが、「東京が(新型コロナウィルス感染拡大により)世界の他の都市と同じような状況となって、景気後退に陥るともいわれている中で、日本にとって五輪実施は経済的なプラス効果が大きいだろう」との見解も示した。

IOCと組織委員会は、東京五輪大会の1年延期に向け、今後のロードマップを5月に策定するとし、両者で共同運営委員会を立ち上げるとした。

(中川泉)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・政府、緊急事態宣言の対象を日本全国に拡大へ 5月6日まで
・トランプ「新型コロナウイルス、武漢の研究所から流出したものか調査中」
・安倍首相、全国民に一律10万円給付へ補正組み替え指示 公明要請で方針転換へ
・韓国、新型コロナ自宅隔離者の無断外出が続出 犯罪者のような電子リストバンド装着へ


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア、イスラエルAI新興買収へ協議 最大3

ビジネス

ワーナー、パラマウントの最新買収案拒否する公算 来

ワールド

UAE、イエメンから部隊撤収へ 分離派巡りサウジと

ビジネス

養命酒、非公開化巡る米KKRへの優先交渉権失効 筆
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中