最新記事

感染症対策

アジア太平洋地域の新型コロナウイルス感染、終息には「ほど遠い」=WHO高官

2020年3月31日(火)18時46分

世界保健機関(WHO)の葛西健・西太平洋地域事務局長は、新型コロナウイルスの感染拡大について、アジア・太平洋地域で終息には「ほど遠い」との認識を示し、現在の感染拡大抑制策は大規模な市中感染に備える時間稼ぎにすぎないとの認識を示した。写真はWHOのロゴ。ジュネーブで1月撮影(2020年 ロイター/Denis Balibouse)

世界保健機関(WHO)の葛西健・西太平洋地域事務局長は31日、新型コロナウイルスの感染拡大について、アジア・太平洋地域で終息には「ほど遠い」との認識を示し、現在の感染拡大抑制策は大規模な市中感染に備える時間稼ぎにすぎないとの認識を示した。

同局長は、パンデミック(世界的な大流行)が続く限り、全ての対策をもってしてもアジア・太平洋地域内での伝染のリスクはなくならないと指摘。「(新型ウイルスの流行は)アジア・太平洋地域で終息にはほど遠い。長期戦になる見込みで、警戒を緩めてはならない」と述べた。

また「すべての国が大規模な市中感染に備える必要がある」と強調した。

局長は、太平洋島しょ国などリソースの限られた国は診断のため他国に検体を送る必要があることから、対応を急ぐべきだとした。

感染拡大の一服がみられる国々についても、警戒態勢を緩めれば感染が再燃する可能性があると警告した。

WHOのテクニカルアドバイザー、マシュー・グリフィス氏は、新型ウイルスはいずれすべての国に広がる見通しで、WHOはどの国も安全とはみていないと指摘。

シンガポールや韓国で海外から入国した人の感染が確認されていることに言及し、「アジア太平洋地域では流行曲線を平坦化する方法を示した国・地域もあるが、新たな場所で感染が広がる状況が続いているほか、海外から持ち込まれるケースも引き続き懸念材料だ」と述べた。

また、感染拡大の中心は現在は欧州だが、他地域にシフトする可能性もあると指摘。感染拡大のリスクはアジア太平洋のあらゆる国・地域で依然高いと述べた。

*内容を追加しました。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?
・パンデミックの拡大局面変えるか 新型コロナウイルス抗体検査に希望の光
・コロナ禍のアメリカでひよこがバカ売れ


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 10
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中