最新記事

中国

コロナ禍は人災

2020年3月9日(月)11時40分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

1月30日になってWHO(世界保健機関)はようやく緊急事態宣言を出したが、「貿易や渡航に関する制限は設けない」として緊急事態宣言を骨抜きにした。WHOのテドロス事務局長はエチオピア人で、エチオピアへの最大投資国は中国だからだ。

「たるんでいた」安倍内閣

このWHO宣言に対して、アメリカやロシア、北朝鮮、台湾、フィリピンなど数多くの国が「中国からの渡航者の入国を一律に禁止する」措置を講じたが、日本は湖北省からの渡航者を規制しただけで中国の他の地域からの受け入れは野放し。2月12日になってようやく浙江省だけを渡航規制区域に加えたが、ザルに水だ。結果、日本はWHOから「警戒国」に列挙されるほど感染を広げるに至った。

日本の外務省の発表によれば、3月7日時点で27カ国・地域が日本に対する入国制限を実施し、入国後の行動制限を設けたのは63カ国・地域に上るという。日本は「危険な国」という印象を世界に広げ始めているのである。

その原因は、これも何度も書いてきたが、4月に習近平を国賓として来日させることになっていたからだ。その習近平のご機嫌を損ねてはまずいと、習近平に忖度した。

もちろん東京オリンピック・パラリンピックや中国人観光客によるインバウンドも考慮したのだろうが、しかしマカオなどの場合は3月1日のコラム<中国人全面入国規制が決断できない安倍政権の「国家統治能力」>に書いたように、北京政府の管轄下にある中国特別行政区であるにもかかわらず、2月5日から中国大陸からの入境も中国大陸への渡航も一律禁止している。なぜならマカオ経済はカジノでお金を落としてくれる観光客によってのみ成立しているので、思い切って大陸からの入境を全面禁止した方が感染拡大を食い止め経済的打撃が少ないと判断したからだ。そのためこれまでの累計患者数を10人に食い止めることに成功している。3月7日現在で、32日間、新規感染者はゼロだ。

マカオでさえできる判断と決断が、安倍内閣にはできなかった。

マカオを管轄するのは中国政府(北京)の全人代(全国人民代表大会)常務委員会で、この委員会が、マカオがこのような措置を取ることを許可したということは、安倍首相が同様の英断をしても問題はなかったことを意味する。

しかし、そのような、日本国民の経済を守るための思考もできないほど、安倍内閣はたるんでいたのではないだろうか。

その証拠に、たとえば2月16日に首相官邸で開かれた「新型コロナウイルス感染症対策本部会議」(全閣僚がメンバー)には、小泉進次郎環境相と森雅子法相および萩生田光一文部科学相が欠席している。

小泉氏は地元の後援会の新年会に出席し、萩生田氏は地元の消防団関係者の叙勲祝賀会に出席。そして森氏は福島県内の書道展で挨拶するため欠席したことが明らかになった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

大林組、自社株2.1%を30日に消却へ

ビジネス

中道改革連合が発足、野田共同代表「食料品消費税ゼロ

ビジネス

午後3時のドルは158円後半へ上昇、日銀会合控え先

ワールド

米国内線、搭乗者6%がリアルID提示なし 2月から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 10
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中